新エネルギーの導入促進に関する提言
VII.
地熱エネルギーの開発・利用推進に関する提言
地熱発電開発の新エネルギーとしての推進
地熱エネルギーは、火山国である我が国に豊富に存在する国産エネルギーであり、CO2排出量の少ないクリーンエネルギー、再生可能な自然エネルギー、ベース・ロードの安定電力を供給するエネルギーである。このような特長を有することから、脱化石エネルギー推進と温室効果ガス削減、さらにわが国のエネルギー安定供給の確保の観点から、地熱発電の大幅な導入促進が必要である。
地熱発電は、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」(新エネルギー法)施行令の改正により、新エネルギーに定義づけされ、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)とともに対象設備の制限を条件に新エネルギーの対象とされている。これら対象制限を廃止し、他の新エネルギーと同等な支援策をもって、地熱発電の開発を促進すべきである。
(1)
地熱発電に対する新エネルギーとしての制限的な取り扱いの廃止
(2)
他の新エネルギーと同等の政策支援と「固定価格買取制度」の導入検討
地熱発電開発支援策の改善・拡充
地熱発電の着実な推進を図るためには、地下資源特有の開発リスクを軽減し、地熱開発の経済性を改善させることにより、事業者の開発インセンティブを高めることが、地熱開発の意欲を喚起する上で不可欠である。そのためには蒸気フラッシュ型地熱発電をRPS制度の対象とする等によって地熱発電に温室効果ガス削減に対する環境価値を付与することに加え、以下の開発支援策の改善・拡充を図ることが必要である。
(1)
地熱開発の意欲を喚起するため開発段階で地熱発電の適正価格を設定する方策を検討されたい。
(2)
出力に比し過大な初期投資の負担と地下資源特有のリスクを軽減するための地熱発電開発費補助金制度の継続・拡充および税制優遇制度の創設
(3)
従来の地熱開発促進調査より更に踏み込んだ事業化推進調査の実施等、地熱開発促進調査制度の充実
(4)
地熱資源開発リスクを低減し開発・操業のコストを削減する技術の開発や、国内に豊富に賦存する未利用酸性地熱資源を活用する技術の開発
(5)
地熱に関する一元的な法律の整備
地熱発電開発の社会・環境調和による推進
地熱発電は、二酸化炭素をほとんど排出せず、気候や天候にも左右されず、安定的にエネルギーを確保できる優れたエネルギー源である。しかし、同じクリーンな自然エネルギーである太陽光発電や風力発電と比べて地域偏在性が高く、有望な地熱兆候地の多くは自然公園内に存在する。
自然はいったん破壊されると元に戻すのは困難であり、自然公園内での開発には慎重な対応が求められるが、一方で、地球温暖化問題への緊急の対応も求められている。自然公園内にある既設の地熱発電所では環境との調和が図られてきた長年の実績があり、全国民に国産エネルギーを提供しつつ、地球温暖化防止に寄与する「自然との豊かなふれあい」の好例となっている。
これまで得られた豊富な知見を活用すれば、自然公園内の豊かな自然との調和を図りながら地熱発電の開発を進めることは十分に可能である。環境を大切にする意識を養う自然公園内こそ自然エネルギーの供給源となることで地球温暖化防止意識の効果的な発信地となり得る。
また、地熱開発に当たっては近隣温泉から正しい理解を得られず、許認可取得等で不都合を来す場合が認められる。我が国の独特な文化として確立した温泉との共存共栄は今後地熱開発を進めていく上で必要欠くべからざるものと思料される。
自然との調和と温泉・地域との協調・共生という観点から、次の点についての措置が重要である。
(1)
自然公園内での地熱開発を調和的に推進するための関係省庁調整
(2)
温泉の変動を的確にモニタリングし、温泉への影響を回避する手法および解析技術の開発
(3)
環境影響評価の効率化
中・小規模地熱発電開発と温泉発電開発の推進
電気事業用の大規模地熱発電とは別に、地域分散型の電源として中・小規模地熱発電開発を推進することが必要である。また全国には温度が高すぎるため使われていない温泉井や、水道水等の費用をかけて温度を下げて利用している温泉が多く存在する。このような温泉資源も発電に利用することにより資源を有効に利用できるようになることに加え、CO2削減にも貢献するものとなる。このため、導入促進のための助成制度を整備し、中・小規模地熱発電・温泉発電に対する電気事業法の規制緩和を進めることが必要である。
(1)
中・小規模地熱発電を核とする分散型地域エネルギーシステム導入および温泉発電の普及のための政策的支援措置の検討
(2)
中・小規模地熱発電・温泉発電設備の電気事業法における規制の緩和
地中熱利用と温泉熱利用の推進
地中熱利用はどこでも可能であり、全国的な普及による地球温暖化対策に寄与すると同時に、都市部の熱供給・ヒートアイランド現象の対策にも有効なので、新エネルギーとして推進される必要がある。また,温泉熱利用は古くから行われているが、新エネルギーとしての位置づけの中での効率化と技術革新が望まれる。
(1)
温泉熱利用を新エネルギー法の対象に追加し積極的な導入支援
(2)
地中熱利用ヒートポンプに対する新エネルギー法下での積極的な導入支援
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