本導入活動は、福岡市中部水処理センターで発生する下水バイオガスを用いて水素を製造し、実用規模の水素ステーションでFCVに供給するという世界的にも初めての事業である。国土交通省の平成26年度下水道革新的技術実証事業の採択を受け、産官学連携体制(福岡市、三菱化工機、豊田通商、九州大学)を構築し、国土技術政策総合研究所からの委託研究として実施した。現在も安定的なFCVへの充填実績を重ねている。
産官学連携の役割としては、福岡市は下水バイオガスの提供、三菱化工機は水素製造とCO2分離技術を含めた水素ステーション全体の設計、建設、実証、豊田通商は事業採算性評価、九州大学は下水バイオガス由来の微量成分が水素製造プロセスに及ぼす影響評価、をそれぞれ担当している。
生活排水から水素を製造することから、世界のどの都市でも展開が可能であるととともに、地産地消エネルギーとしての有効利用が期待される。日本では下水バイオガスの約30%が未利用であり、この技術を用いれば、年間数十万台のFCVに水素を供給することが可能となる。
【技術の概要】
本技術により、従来化石燃料から製造されていたFCVの燃料である水素を、下水処理場の消化工程から発生する下水バイオガスを原料として製造することにより、新たなエネルギーを創出すると共に、温室効果ガス排出量の削減が可能である。
なおCO2については、下水バイオガスから分離し、液化回収することで、ハウス栽培に利用するなど有効活用が可能である。