本事業は、地域の未利用材により木質ペレットの製造を行う事業及び木質ペレットを燃料としてガスエンジンユニット(990kW)により電力と熱を生成、発生した熱をバイナリー発電装置(125kW)を介して電気に変換し、それぞれ売電しており地元企業が中心となった地域密着型のバイオマス発電事業である。
国内では実績が少ない木質ガス化発電を安定的に稼働させている。また、地域内店舗等で使用できる地域通貨券も発行しており、木材買取や見学会等を通じて流通させ地域の活性化に貢献していることが評価された。
内子町は、愛媛県の中央付近に位置する山林に囲まれた町である。総面積299.5㎢、人口約16,000人の小さな町に山林が77%と大部分を占めている事が特徴で、農林業、観光業が主要産業である。
このような地域でバイオマス発電所を産業の軸とした地域の関連事業への事業創出や、豊富な森林資源の利活用、採算性の低い山林保全事業の改善、地産地消エネルギー利用の促進など地域で抱える課題を解決する一手として地域密着型バイオマス発電事業に着手した。
当発電所は木質ペレットガス化熱電供給装置6基(990kW)、バイナリー発電装置1基(125kW)を擁する発電所で、四国電力㈱に全量売電している。
また、ペレット原料供給先の一つである町営小型木材市場「木こり市場」では、指定開催日に地域の山主から木を買取り、現金と地域通貨券(ドン券)で支払いをしている。発行している地域通貨券は地域内の店舗等で使用でき、地域経済の循環と活性化にも寄与している。(令和元年度実績:639,880kg)
発電所およびペレット製造工場から排出される燃焼灰や炭化物を林道整備補助材や助燃材、土壌改良補助材へと加工し地元林業事業者や農家へ提供し、地域の山から出たモノを地域に還元する持続可能な循環型社会を構築している。
今後は、本事業をモデルケースに各地域に地域密着型バイオマス発電を普及させていく方針である。
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