太陽光発電所で使用される太陽光パネルは、将来、産業廃棄物として排出されることが予想されている。本事業は、リユース太陽光パネルを活用したオンサイトPPA(企業・自治体が保有する施設の屋根や遊休地を事業者が借り、無償で発電設備を設置し、発電した電気を企業・自治体が使う事業モデル)による太陽光自家消費モデルである。
太陽光パネルのリユースは、今後の重要課題であり先進的な取組みとして評価された。リユース太陽光パネルを活用したオンサイトPPAによる太陽光発電設備を導入することにより、より安価な再エネ供給を実現しており、今後は補助金なしでも事業が成立する可能性を示した将来性があるビジネスモデルとして評価された。
事業活動で使用する電力を全て再生可能エネルギー(以下、再エネ)起源とする取り組みが国内外を問わず進んでいる。系統から再エネ電気を購入する場合、非化石証書などが必要であり、コスト増となる。これに対し、電気料金を抑制しつつ再エネ電気を調達する手段の一つがオンサイトPPAである。一般的にオンサイトPPAは契約期間が17年以上など、一定の築年数が経過した建物への設置が難しい。そこで、安価に流通するリユース太陽光パネルを適切に使い、より短い契約期間によるオンサイトPPAを実現できないかとの考えが浮かぶ。
リユース太陽光パネルをオンサイトPPAで使用するには、主に2つの課題がある。一つは、リユース太陽光パネルを活用するための技術、もう一つはリユース太陽光パネルに対する関係者(需要家・PPA事業者)の理解である。
これらについて、リユース太陽光パネルの検査・修理技術、旧式パネルの設備設計手法について確立した上で、長崎県五島市内で実証試験を実施してきた。その実証を通じて、リユース太陽光パネルについての理解を関係者が深めるに至り、九州初のリユース太陽光パネルを用いたオンサイトPPAモデルを長崎県長崎市のJR西日本プロパティーズ九州支社に構築した。今回構築したビジネスモデルは、安価な再エネ調達を実現すると共に、太陽光パネルの廃棄量抑制、新品太陽光パネル製造時のCO2排出削減、太陽光パネルの輸入依存の低減などの社会的課題の解決にも貢献する取り組みである。
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