本取組みは、未利用の木質バイオ(間伐材等)を活用して、地域経済及び森林整備に貢献する活動である。温浴施設と林業という地域のニーズにあった取り組みであり、薪ボイラだけでなく、PV、蓄電池、太陽熱温水器も導入していることが評価された。本活動が今後とも持続していくことを期待したい。
多摩川源流に位置する小菅村の森林率は94%で、水源地の森林整備と、間伐材の活用が課題であった。 そのため、温浴施設「小菅の湯」に、これまで利用されていなかった木材を薪として活用する薪ボイラーを導入し、2022年から運用を開始し、森林整備促進、化石燃料削減、地域経済活性、国内初の薪ボイラー、太陽光、 蓄電池、太陽熱の複合によるエネルギー供給及び災害停電時の自立運転による避難者への入浴機会提供に取り組んでいる。薪は村民や林業事業体から購入しており、年間で約500m3を消費する。薪による化石燃料代替の結果、CO2削減量は平均100t-CO2/年となる。稼働開始から3年目の削減コスト実績は1,433万円となり、導入前の3,200万円に対して45%の削減率となっている。
また、地域共生の観点では、小菅村で行われる視察・企業研修の見学先として薪ボイラーと薪製造所を組み込み、森林資源及び再生可能エネルギー活用事例として学習機会を設け、研修後に小菅の湯へ入浴してもらう機会との接続にも取り組んでいる。伝統芸能の点では、お盆に小菅の湯正面ロータリーで盆踊り大会を開催しており、世代を越えた村民が交流する場を創出している。また、森林空間利用の点では、整備後の森林空間をフォレストアドベンチャーやMTBパークとして活用し、森林の魅力や楽しさ、保全の重要性を体感する場として提供を行なっている。
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