新エネルギーの導入促進に関する提言
[平成25年度]

III. バイオマスエネルギーの利活用に関する提言の概要
 現在、日本のエネルギー政策の骨格となるエネルギー基本計画の見直しが進められているが、再生可能エネルギーの利用は継続して重要であり、バイオマスエネルギーの利用促進が益々求められる。
 新エネルギー産業会議バイオマス委員会では、再生可能エネルギーにおけるバイオマスエネルギーの利活用において、木質バイオマス資源の有効利用、湿潤系バイオマス資源のバイオガス生成・利用推進等の観点より「バイオマスエネルギーの利活用に関する提言」をまとめ、以下の通り提言する。
木質バイオマス発電導入促進への支援 の提言
 エネルギー自給率の向上及び地球温暖化の防止に貢献するためには、国内の森林系未利用資源である間伐材等の木質バイオマス資源のエネルギー利用促進を通じて、国内林産業を活性化し、わが国のCO2森林吸収源の確保を通じて、国内森林資源を効率的にかつ安定的に利用する体制を早期に確立する事が必要となる。
 これらを踏まえて、再生可能エネルギーにおけるバイオマスエネルギーの利活用として、地球温暖化防止に効果のある森林整備と木質バイオマス資源のエネルギー利用の推進を両立させることを目的とし、次の提言を行う。
1-1 健全な木質バイオマス発電事業発展のための事業者への支援 の提言
 FIT制度の導入により、小規模の木質バイオマス発電でもバイオマスエネルギー利用促進が図られ、並行して国内森林資源の利用と森林整備の活性化の可能性が出てきて、雇用拡大の機会が生まれてきている。しかし、この発電事業の計画を効果的に組み立てるには、多種の産業に跨るため、未だ十分な資料および人材が揃っていない。このため、持続可能な低炭素社会の構築に貢献できるよう、木質バイオマス発電での発電事業者側の事業計画等策定時に役立つように、人材育成研修、セミナー、アドバイザー制度のような事業者への支援を提言する。
1-2 新たな森林利用分野創出取り組みへの支援 の提言
 国内の木材資源量は増加が続いているが、一方で国内材の利用については減少しており、国内の木材需給バランスは崩れている。FIT制度により木質バイオマス発電用途が増えると想定されるが、エネルギー用途での木材使用は、従来の建材用途での使用と比べて全く異なる観点での扱いになることから、エネルギー木材市場の形成が現時点で出来上がっていない。
このため、林業家が新たな森林利用分野創出に踏み出せるように、エネルギー木材市場等森林利用分野創出取り組みへの支援を提言する。
1-3 木質バイオマス燃焼灰の利用への支援 の提言
 木質バイオマス発電では年間数万~数十万トン規模にわたる木質バイオマスを安価に、質・量共に安定して供給する必要がある。このためには川上から川下までの工程毎の事業者が相互に連携する仕組みづくりが大切であり、また、発電後の燃焼灰の処理を安定的に継続して行えることが大切である。
 燃料となる木質バイオマスのトレーサビリティーを確実にすれば、ミネラル分を元の森林へ還元でき、森林の土壌保全にも資することとなる。
 このように、木質バイオマス発電の燃焼灰の森林への還元を支援する恒久的な利用の仕組みづくりの構築を支援するように提言する。
バイオガス化システム普及の加速化 に向けた提言
 今年度は全バイオマス発生量の約3割を占める湿潤系バイオマスの利用面として、メタン発酵によるバイオガスでのエネルギー利用の検討をした。
 食品廃棄物、家畜糞尿、下水汚泥など湿潤系バイオマスから発生するバイオガスは、メタンガスを多く含むものの、不純物が多い等の問題がある。
 この時、発生元の湿潤系バイオマスの収集状況を見ると量的に多いものが少なく、バイオガス利用においても小規模利用が主になっている。このため、発電よりは焼却・熱利用されているため、今後の発電利用に向けての課題を検討して、バイオガス化システム普及の加速化に向けて、以下の通り提言する。
2-1 小容量バイオガス発電導入強化 に向けた提言
 食品廃棄物、家畜排泄物などから発生するバイオガスは、1か所での発生量が比較的少ない。このため、バイオガス発電の拡大に向けては、小容量の発電機器、発酵槽やガスホルダといった設備のコストダウンが有効であり、その実現のための開発支援の実施を提言する。これら小容量バイオガス発電機器、設備の低コスト化の必要性はあり、平成23年度に引き続き今年度も提言を行う。
2-2 バイオガス発電の既設設備に対する規制緩和 に向けた提言
 バイオガス発電の歴史は古く、FIT制度開始以前から、メタン発酵によるバイオガス発電に取り組んできた施設は多数存在するが、多くの施設は発電した電力を自施設内で利用してきた。既設設備で、再生可能エネルギー発電設備として設備認定を得るには、例えば発電機の更新が必要等の高額な設備投資が必要となり、再生可能エネルギー発電を志向することは困難と言わざるを得ない。
 そこで、既設のメタン発酵槽を利用し、これまで焼却処分などしていたバイオガスを、有効に発電に利用する施策を講じた施設に関しては、調達価格等を設定して設備認定を受けられるように規制緩和することを提言する。
2-3 新たな用途へのバイオガス利用促進を強化 に向けた提言
 ハウス園芸等の農業施設には、ハウス内の暖房や冷房などバイオガスの熱利用用途とともに、生産物の成長促進を加速する目的で、CO2施肥が行われるケースがある。
 バイオガスを発電に用いた排ガスには高濃度のCO2が含まれるため、これをハウス園芸のCO2施肥に利用することは、バイオガスの新たな用途の一つと言える。
 一方、農業施設では、温度やCO2濃度の調整トラブルが、生産物の品質や収穫量に直接影響することから、バックアップ設備が不可欠である。このため、暖房・冷却、CO2施肥のための機器を、バイオガスを用いて運転する際には、予備を含めて複数系列用意する必要があり、設備投資額が過大となる。
 このため、バイオガスの有効利用促進をする上でも、農業施設へのバイオガス利用設備の導入に際しては、バックアップ設備も含めたトータルシステムを補助対象とすることを提言する。
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