新エネルギーの導入促進に関する提言
[平成26年度]

Ⅲ.水力発電の開発促進に関する提言の概要

最大の自然エネルギーである水力発電

 水力発電は、CO2排出が極めて少ないクリーンな再生可能エネルギーとして、エネルギーセキュリティと地球温暖化対応の両立、系統安定性の確保および地方創生に貢献する重要な電源であり、未だに2,700地点以上の未開発地点が存在する。

開発促進に必要な施策

1.水力開発を促進するための施策
(1)支援制度の拡充・強化
(2)地域との共生・地域理解の醸成策の拡充
(3)新規水力開発事業者への支援強化
2.水力開発に係る許認可手続きの簡素化・迅速化
環境影響評価法、自然公園法、森林法

開発促進に必要な施策
水力開発を促進するための施策

(1)支援制度の拡充・強化

 水力発電は他電源と比較して優位な特性を持っている。しかし、水力開発は、系統連系費用を含む初期段階の費用負担が大きく、費用回収に長期間を要する。また、既設発電所の設備更新時に、新技術の導入等により出力増加および電力量増加を図ることが可能であるが、更新当初の費用負担が大きい。
 このため、開発を促進するために、短・中期の経済性を確保するための支援制度の拡充、固定価格買取制度の維持・強化など、以下の支援措置が必要である。
a)出力増加を伴う設備更新に係る支援
b)送変電設備・系統連系等に係る支援
c)固定価格買取制度における耐用年数相当の買取期間と制度の長期継続
d)固定価格買取制度の設備認定時期の前倒し

(2)地域との共生・地域理解の醸成策の拡充

 水力開発は、立地地域との共生関係を構築し、その理解を得ながら、持続的に取り組む必要がある。また、建設後の水力発電の円滑な事業運営のためには、立地地域の理解醸成が不可欠である。このため、立地地域との共生関係構築、地域の理解醸成に期待できる以下の措置が必要である。
a)電源三法交付金のうち電源立地促進対策交付金相当部分の拡充
b)電源三法交付金のうち電源立地等初期対策交付金相当部分の拡充
c)流水占用料の使途開示

(3)新規水力開発事業者への支援強化

 水力開発への新規参入者が増加しているが、水力発電に係る知識・ノウハウを共有化し、適切な水力開発を促進するために、新規水力開発事業者に対する以下の支援強化が必要である。
a)水力開発に係る相談体制の整備および人材育成
b)水力開発に係る好事例の水平展開
水力開発に係る許認可手続きの簡素化・迅速化

(1)環境影響評価法

 水力発電設備の設置に関し、環境影響評価手続きの迅速化が必要である。

(2)自然公園法

 自然公園法の許可および届出の手続きについて、特別地域内(主に第2種、第3種)における開発行為に関して、審査基準の明確化による手続きの迅速化が望まれる

(3)森林法

 森林法における保安林解除手続きについて、一層の手続きの簡素化・迅速化が望まれる。
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