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インバランス料金制度の見直し(その2)
―新インバランス料金制度について―

新たなインバランス料金制度については、2022年度開始を目標に電力・ガス取引監視等委員会で検討され、パブコメを経て公表(2020年4月10日)された。

これまでのインバランス料金制度は、需給調整市場(2021年度)創設までの間の過渡的な措置とも言えるものであり市場価格等をベースに算定してきた。新たなインバランス料金制度は、一般送配電事業者が需給をバランスさせるために需給調整市場を創設し、火力や水力、揚水などの調整電源を調達、その調達コストをインバランス料金に反映するものであり、本来の形と言える。

新インバランス料金の算定の基本的な考え方としては、①インバランス対応のために用いられた調整力の限界的なkWh価格 ②需給ひっ迫時補正インバランス料金のいずれかの高い方を採用することとしている。

インバランス料金の算定方法
(令和元年12月17日 2022年度以降のインバランス料金制度について(中間とりまとめ)
電力・ガス取引監視等委員会事務局 より抜粋)
インバランス料金の算定方法

特に、需給ひっ迫時のインバランス料金は、一般送配電事業者が確保する調整力の余力が少なくなった状況においては、大規模停電など系統全体のリスク増大につながりかねないとのことから、インバランス料金を人為的に増大させ需給の改善を図る狙いがある。具体的には、通常、市場には存在しない電源(自家発、デマンドレスポンス等)の市場への供出を促す仕組みとするため経済的対価を用意することが必要との考えであり、インバランス料金の上限としては、600円/kWhとし、当面(2年間)は200円/kWhを提示している。

インバランス単価が高額になることは、何らかの原因で発電設備が稼働できなくなった場合、一般送配電事業者に支払う額も大きくなることを意味する。特に、再エネについては、発電量が自然条件によって変動する電源であり、インバランス料金が事業性に大きく影響をあたえるものである。再エネの主力電源化にブレーキをかけることがないような配慮が必要ではないか。

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