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大崎クールジェン(その2)

大崎クールジェン(その1)では、本プロジェクトの概要、そして現在までの実施事業結果等について記載した。今回は、CO2分離回収等を中心とした環境対策について述べたいと思う。

本題から少しそれるが、本プロジェクトが立地する広島県豊田郡大崎上島町は、瀬戸内海の離島であり、大崎上島からさらに橋で渡った長島に本施設は立地する。長島大橋の下の海峡では鯛の養殖が行われなど、海の非常に美しい地域である。もともと本サイトは微粉炭火力発電所の立地場所として確保されたが、計画は変更となり、その経過途中ではメタノールを燃料としたNEDOの実証事業が行われた時期もあった。その後、石炭を燃料とした加圧流動床複合発電(PFBC)の発電所が建設され、営業運転を行ったが、11年で休止している。大崎クールジェンプロジェクトの施設は、休止した施設の横に建てられている。
本地は、紆余曲折を繰り返ししながら、石炭とともに歩んできた特別な場所のように感じる。

本プロジェクトは、現在、第2段階のCO2分離回収設備を付設した「CO₂分離・回収型酸素吹IGCC」の実証試験を実施している。(2016~2020年度)

CO₂分離・回収方法としては、今後の高圧プロセス化を勘案し、CO₂吸収量が圧力が高いほど増える物理吸収方式を採用している。また、ガスの取り込み位置を燃焼前とし高圧(ガス体積が小さい)かつ高濃度CO₂石炭ガスのCO₂分離回収を行っている。これは燃焼後の排ガスからCO₂を回収する場合に比べ、エネルギーロスの少ない効率的なCO₂分離回収が可能となる。

実証試験の目標は、「1,500℃級IGCCにおいて、CO₂を90%回収しつつ、発電効(HHV)率40%程度。CO₂分離回収装置におけるCO₂回収効率90%以上、回収CO2純度99%以上」となっている。

実証試験は、計画通り進められており、今年度中には結果が出る予定となっている。

また、経済産業省が掲げる「カーボンリサイクル3Cイニシアチブ」の一つ「カーボンリサイクル研究拠点」を本サイト内に建設する計画が進んでする。コンクリート、人工光合成、バイオ燃料など様々な「Beyondゼロ」を目指すカーボンリサイクル技術の「ショーケース」として、万博などの機会も活用しつつ、世界中にアピール予定となっている。

クリーンコールテクノロジーの中心地として、瀬戸内の風光明媚な離島、大崎上島に益々注目が集まっている。

【ご参考】

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