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バイオマス混合処理

バイオマスの種類は多岐にわたるとともに、発生による法的な区分も多様になっている。そのため、その発生から収集・利用には大いに工夫が求められ、複数のバイオマスの混合処理が求められているが、なかなか広まらず、導入のためのガイドラインの策定が行われている。(参照①②)

バイオマスの混合処理が求められるのは、一般に、処理するにもエネルギー利用するにも、1か所でのバイオマスの発生量が多くなく、また、収集する際に広範囲に渡る場合が多いためである。

さらに、バイオマスの性状から検討する場合、それぞれに適用する技術が異なる点から乾燥系と湿潤系に分けられ、エネルギー利用するには、乾燥系では直接燃焼やガス化技術が多く、湿潤系ではメタン発酵によるバイオガス利用が多くなることである。

このようにバイオマスは、地域に「広く薄く」存在していること、多種の技術を組み合わせて利用してカーボンニュートラルの効果を受容できることから、処理・利用での経済性の向上を図るため、次の項目に注意してバイオマス混合処理が行われている。

  • ① 類似バイオマスの効率的な収集・運搬システムの確立
    ・家庭系一般廃棄物での紙布類と産業廃棄物での事業所紙布木片
    ・下水汚泥やし尿汚泥、食品廃棄物ないし家庭系生ごみ、他
  • ② 木片製材端材や森林残材の県境を越えての搬送手続きの簡素化
  • ③ メタン発酵処理の際の消化液や固形残差の扱い
  • ④ メタン発酵での混合・製造・利用技術の低コスト化
  • ⑤ ある程度の規模を確保して、発電電力や熱を経済的に供給できる一貫システムの構築

このように、多くのバイオマスは広く薄く分布しているため、効率向上のため設備を大型化する際には、原料確保のため様々な種類のバイオマスを混合処理する必要があり、複数の部門の協力が必要になる。実際に混合処理を行っている自治体では、計画時に自治体が部門横断的にプロジェクトを遂行している。

また、混合処理を行う下水処理施設、一般廃棄物処理施設、産業廃棄物処理施設の許認可手続きを一元化、もしくは共通部分を省略することが有効であると考えられる。更に自治体判断に任せられることが多い一般廃棄物と産業廃棄物を混合処理する際に求められる設備設計の指針を、ガイドライン等で示すことが重要であり、今後もその諸手続きの簡素化を進める必要がある。

【参考】

  • ①「廃棄物系バイオマス利活用導入マニュアル」平成29年3月 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課
  • ②「事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)」2020年4月改訂 資源エネルギー庁
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