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非化石証書の動向(その1)

再生可能エネルギーや原子力発電などの非化石電源は、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料の電源に比べ、地球温暖化の原因となるCO₂をほとんど排出しないというメリットを持っている。つまり、非化石電源には「環境価値」があり、その環境価値のひとつである「非化石価値」を取り出し、証書の形にして売買を可能にしたのが「非化石証書」。

非化石電源を使って電気をつくる発電事業者は、この「非化石証書」を取引市場でオークションにかけ、電気を小売する事業者が、その「非化石証書」を購入すると「販売する電気がCO₂をほとんど排出しない電気と見なされる」ことが可能となる。

日本には、小売電気事業者や発電事業者などが電気の売買を行う「卸電力取引所」がある。特に、電力自由化後に新たに小売電気事業をはじめた企業は、取引所から多くの電気を調達し、住宅や企業に電気を販売している。この取引所では、「化石電源」「非化石電源」などの電源の種類を問わず、価格にしたがって安いものから買い取られていくしくみがとられていたため、小売電気事業者は、できるだけ安く電気を調達することができるが、「非化石電源」からの電気だけを選んで調達することはできなかった。そこで、小売電気事業者が、取引所からできるだけ安く電気を調達しながら、同時に非化石電源比率を高めることができるようなしくみが求められていた。

そこで、固定価格買取制度(FIT)対象の再生可能エネルギー電源の電気に対して非化石証書を発行し、環境価値を取引する「非化石価値取引市場」が2018年5月に創設された。

小売電気事業者は非化石証書を購入することで、エネルギー供給構造高度化法に定められる非化石電源比率の目標(2030年度までに44%以上)達成に利用でき、また、非化石証書を組み合わせた電気は実質再エネ電気として需要家に販売することができる。

さらに、この取引で生まれたFIT電気の非化石証書の売り上げは、FIT賦課金の原資にあてられるため、国民の賦課金負担の軽減が期待できるという側面も持っている。

「非化石価値取引市場」の状況については、その2に続く。

【ご参考】

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