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カーボンリサイクルファンド

現在、地球温暖化防止を背景に、世界中でCO₂を排出する化石燃料の使用について、批判的な動きが広がっている。「脱炭素」によって地球温暖化防止対策を進めようという訳である。しかしながら、すべての生き物は、炭素でできており、CO₂は水や空気を通じて循環している。CO₂をエネルギー製造の最終形として捉えるのではなく、CO₂のを資源として捉え、活用し、炭素循環させる「カーボンリサイクル」の概念に目を向けて欲しい。CO₂は、化学、農林水産、材料、ライフサイエンスなど幅広い分野で利用することが可能であり、そのイノベーションに大きな期待を感じている。

「カーボンリサイクル」を具体的に実現するために、2019年8月に一般社団法人カーボンリサイクルファンド(CRF)が設立されている。会員には、化学、電力、エネルギー、商社、金融など60社以上の企業等が参加している。具体的な活動としては、「カーボンリサイクル」に関する「広報活動」、「カーボンリサイクルに」取り組む研究者を応援する「研究助成活動」、政策提言などの「その他活動」を実施している。

「カーボンリサイクル」は、まだ一般の認知度が低いため、「CO₂とはそもそもどういうものなのか?人間を含む自然界でCO₂はどのようなに循環し、生物にとってどのような重要な役割を果たしているのか?」について、セミナーなどの各種イベントでわかりやすく情報発信している。

また、「カーボンリサイクル」に係る化学、燃料、生物、社会科学など幅広い分野を対象として、組織ではなく研究者のアイデアに助成金を交付している。具体的は採択テーマには、「二酸化炭素を有機酸に変換する生物電気化学技術」や「バイオ燃料と高付加価値商品の同時生産のためのパラクロレラの育種」などユニークなものが数多くある。

2020年10月菅総理より、「2050年カーボンニュートラル」が宣言され、その実現に向けて、CO₂の抑制はもちろん、CCSなどのCO₂吸収、そして「カーボンリサイクル」の重要性は今後ますます高まっている。

【ご参考】

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