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慣行水利権と発電用水利権使用手続きの簡素化

慣行水利権とは、旧河川法の制定前あるいは河川法による河川指定前から、長期に亘り継続、かつ反復して水を利用してきたという事実があって、当該水利用の正当性に対する社会的承認がなされ、権利として認められたものをいい、これについては、改めて河川法に基づく取水の許可申請行為を要することなく許可を受けたものとみなされている。

従属発電の水利使用の登録制は、従属元水利使用の許可の審査において下流の利水者や河川環境への影響について既に確認していることから手続を簡素化するものであり、慣行水利権に係る小水力発電の発電水利使用においても「慣行水利権に係る小水力発電の水利使用手続の簡素化について」の通知により、登録制は勿論のこと、その対象外である許可制についても手続きが簡素化されている。

〇慣行水利権と従属関係が確認できる場合(登録制の対象)の小水力発電の慣行水利権に基づく取水量等の調査方法の簡素化について

  • (1)慣行水利権に基づく取水地点において、少なくとも1年間の取水量を計測。
  • (2)慣行水利権に基づき取水している農業用水路等において、取水地点における取水量と同量であることが確認できる地点があれば、その地点において流量計測を行うことも可能。
  • (3)従属発電の発電地点において流量計測を行う場合は、発電地点と慣行水利権に基づく取水地点との受益面積比、あるいは同時流量計測による換算率等により、慣行水利権に基づく取水量を推定することが可能。
  • (4)取水量等の計測頻度については、少なくとも半旬毎(5日に1回)に計測する。なお、系統連系をせず、地域における環境学習等を目的とした従属発電を行う場合においては、月毎(1月に1回)とすることが可能。
  • (5)従属発電に係る水利使用登録の存続期間については、原則、取水量の計測期間と同期間。なお、登録後において引き続き取水量を計測している場合は、次回の登録申請にあたり、原則、当初の存続期間に新たな計測期間を合算した存続期間とする。
  • (6)上記による計測又は推定した取水期間及び取水量が、河川管理者への届出の範囲内である場合は、従属発電に係る水利使用の取水期間及び取水量について、その届出の範囲内において認められる。
  • (7)水利使用に係る取水量報告は、発電出力からの換算により取水量を推定することが可能。

〇慣行水利権と従属関係が確認できない場合(登録制の対象外)の小水力発電のための水利使用許可手続の簡素化について

  • (1)新規水利使用の取水量は、少なくとも1年間、その地点の河川の流量を計測。
  • (2)取水地点付近において、河川管理者等が調査した河川流量データ又は河川環境データが存在する場合には、その調査結果を添付書類として活用可能。
  • (3)取水地点付近において、河川管理者等が調査した河川流量データがない場合であっても、取水地点を含む流域と地形、地質、降雨量等が類似している近傍の流域(流域が重なる場合を含む。)の他の観測所等の河川流量データをもとに水利使用状況から自然流量を算出した上で流域比換算により算出した河川流量データを根拠とすることが可能。
  • (4)許可期間については、原則、河川流量の計測期間と同期間。なお、水利使用の許可後において引き続き河川流量を計測している場合は、次回の許可申請にあたり、原則、当初の許可期間に新たな計測期間を合算した期間を許可期間とする。
  • (5)発電に伴う減水区間において、既に維持流量が設定され、既存の河川環境に係る資料が存在する場合には、動植物、景観等の新たな河川環境調査は省略が可能。
  • (6)動植物に係る調査は、文献調査又は聞き取り調査で代表種を選定することが可能。
  • (7)河川法の許可を受けた取水施設等を改築せずに、そのまま活用する場合においては、取水施設等の構造図等の添付は不要。

【参考文献】

  • ・国土交通省水管理・国土保全局 慣行水利権に係る小水力発電の水利使用手続の簡素化について(国水調第35号 国水流第9号 平成25年12月11日)
  • ・一般財団法人 新エネルギー財団 新エネルギー人材育研修会(水力発電コース)テキスト
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