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公営電気事業者と売電契約

公営電気事業は、戦後の電力不足の解消と産業振興に貢献するため、河川総合開発事業への参画という形で始まり、地方公共団体(公営電気事業者)が地方公営企業法に基づき経営しています。

電力システム改革により、公営電気事業も運営の形態が変わりました。特に売電契約については変化が大きくありました。以前は公営電気事業の電力は、旧一般電気事業者が買い取る形式が多く、契約も相対契約がほとんどでした。電力システム改革後では、一般競争入札による契約が主流となり、公営電気事業者が独自に条件を付けて入札を行っています。

電力システム改革後の入札の例としては、大きく分けて次の2通りがあります。

  1. 価格を重視した競争入札
    買電価格が一番高い入札業者と契約を結びます。
    買取側にメリット(水力発電による環境価値など)がないと高値が付きません。2~3年単位での契約をする場合が多いです。
    単純な価格競争になりますが、地方公共団体が持つ電源は、地域への公共福祉に貢献する側面があるため、価格のみ重視する入札はそれほど多くありません。
  2. 地域貢献を重視した競争入札
    地域貢献の提案を含んだ、公募型プロポーザル方式で入札を行います。
    地域貢献の例としては、公営電気事業の非化石価値を使った売電プランを作成する、地元企業に安い価格で電力を提供する、などがあります。こちらも2~3年単位の契約が多いです。
    地域の公共福祉に貢献するという目的を契約条件に盛り込めるため、この形式で入札をするところが多いです。再生エネルギーによる地域貢献は、SDGsにも関係するため、入札に参加する小売電気事業者やその顧客にも、自社のPR材料として人気があります。

これら入札を行う以外に、事業の売却・譲渡を行うケースもあります。電力システム改革に代表される時代の変化で、「地方公共団体が電気事業を行う意味が薄くなった」「発電所を維持するだけの収入が得られにくくなった」など、様々な理由で電気事業を発電事業者に売却・譲渡をすることがあります。

【参考文献】

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