国内のバイオマスエネルギー市場と将来展望(矢野経済研究所まとめ)
昨年12月に矢野経済研究所が国内のバイオマスエネルギー市場を調査し、市場動向や有力プレイヤーの動向、将来展望などを明らかにしました。以下、矢野経済研究所のプレスリリース、紹介記事などを元に以下の通り、調査内容を報告します。バイオマス市場全体の状況を示す調査です。
- (1)市場概況
- 2022年度国内バイオマス発電量を40,581GWhと推計。21年度末から22年度にかけて設備容量が10MWを超える大規模な木質バイオマス発電所が複数稼働を開始、22年度は大幅に増加。
- 23年度の発電量は前年度比107.4%の見込み(下記グラフを参照)対象区分の認定時に入札制度が導入されるなど、FIT制度見直しで大規模木質バイオマス発電所の新規建設が鈍化、また燃料調達競争激化により一部発電所で稼働率が低下状況。
- (2)注目トピック
- FIP制度の活用
FIP制度を活用する発電事業者は、自身で売電のタイミングや売り先を選定する形となる。発電事業者によっては、燃料価格の変動に応じた売電価格の設定や再生可能エネルギーのニーズがある企業との直接取引を視野に入れた上で、FIT制度だけでなくFIP制度にも依存しないバイオマス発電事業を検討している。これらの動きが広がると、2020年代中頃から2030年にかけて、FIT制度を活用しない木質バイオマス発電所の建設が進む可能性がある。
- (3)将来展望
2030年度のバイオマス発電量を45,988GWhになると予測。大規模な木質バイオマス発電所の新規計画の件数が減っていることから、2024年度以降、バイオマス発電量は微増基調にて推移する見通し。
今後、導入の増加が見込まれるのは、食品廃棄物を原料としたメタン発酵バイオガス発電とする。近年、食品廃棄物の発生量が数十t/日とまでいかなくても、メタン発酵バイオガス発電を実施したいという顧客の要望があり、商業施設などで小型のバイオガス化設備の導入が検討されるケースが増えている。
【参考資料】
- ・2023年12月18日 矢野経済研究所プレスリリース
「バイオマスエネルギー市場に関する調査を実施(2023年)
- ・2024年2月25日 熱産業新聞
「矢野経済研究所まとめ 国内のバイオマスエネルギー市場と将来展望」