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未来の再エネ(その1 空飛ぶ風力発電)

未来の再生可能エネルギーとして、世界中で様々な研究が行われている。今回紹介する「空飛ぶ風力発電」は、より効率の良い、より実用的なものを目指して研究が進められている。

まず、はじめに米国のベンチャー企業であるアルタエロス・エナジーズ社が開発した「空中浮体式風力発電設備(Buoyant Airborne Turbine)」を紹介する。本件には、ソフトバンク、三菱重工業、オマーンの財閥企業スヘイル・バーワン・グループなどが出資している。

これは、ヘリウムガスを充填した長さ約10mの風洞型気球を、地上約600mの高さに浮上し、安定した強い風を定常的に受けることで、同規模の従来型風力発電設備に比べ2倍超の電力量を発電することができるというもの。1基あたりの発電能力は最大30kW。また、トレーラーによる運搬の後、素早い設置が可能であるなど、遠隔地に向けた積み出しや据え付けが容易であるという利点もある。送電網のない地域や島しょ部、へき地、さらには災害地域などでの電力供給に適しているとされ、これら地域で多用されているディーゼルエンジンによる発電に比べ、強いコスト競争力を持つと期待されている。

空中浮体式風力発電設備(Buoyant Airborne Turbine)

次に紹介するのは、グーグルの持ち株会社Alphabet Inc.の子会社で新電力ベンチャーのMakani社が開発した「風力発電カイト」。これは、風力発電機をカイトに乗せ、洋上のブイにロープで係留し、凧揚げのように空中に浮遊させ発電する仕組み。

カイトに乗せられた風力発電設備は一見すると、プロペラ飛行機のような形状。8基のローターが風を受けて回転し発電する。今回使った実験用のプロトタイプの設備の発電容量は600kWで、一般家庭300世帯分の電力をまかなうことができる。

カイト式は、浮体ブイを活用するが、風力発電設備を空中に凧のように浮かせるため、従来の風力発電に比べて、鉄鋼、コンクリートの使用量が少なくて済む。空中での風の捕捉等はGPSやコンピューター制御で自動化される。海底が深い海洋でも、低コストで効率的に発電できるメリットがある。

風力発電カイト

今後の実用化に向けた開発状況に期待したい。

【参考資料】

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