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再エネの出力制御について(1)―急増する出力制御―

これまでは、九州電力だけが実施していた出力制御であるが、2022年度以降は他の大手電力会社でも実施され始め、更に2022年度から比較すると2024年度の見込み量は、4倍以上の出力制御量となるとの見通しである。

ここでは、再エネの出力制御の現状について紹介する。

【優先給電ルールについて】

国のルールでは、電気の発電量がエリアの需要量を上回る場合は、以下の順番で出力を制御することとなっている。

  • ①火力の出力制御や揚水・蓄電池の活用
  • ②他地域への送電
  • ③バイオマスの出力制御
  • ④太陽光、風力の出力制御
  • ⑤長期固定電源(水力、原子力、地熱)の出力制御

【電力会社への広がり】

上記の通り再エネがすぐに出力制御されるわけではないが、各電力会社の再エネの出力制御が広がっている状況である。当初(2008~)は、九州電力管内だけで実施されていたが、2022年度以降は他の電力会社でも実施されるようになってきた。2024年度は、東京電力を除く電力会社9社で出力制御が実施される見込みとなっている。

出力制御実施の電力会社
(第51回 系統ワーキング配布資料「再生可能エネルギーの出力制御の抑制に向けた取り組みについて」2024.5.24 をもとに作成)
出力制御実施の電力会社

【急増する出力制御】

2022年度から2023年度にかけては約3.3倍の増加、2023年度から2024年度にかけては約1.3倍の増加となっている。電力量としては、2024年度の見込み24.2億kWhであり、これは1世帯が1年間で消費する電気使用量の平均を4175kWh(R3年度環境省データより)とした場合、約58万世帯が1年間使用する電気を捨てていることに相当する。特に、九州電力では、毎年高い水準で出力制御を実施しており、2024年は10億kWhの出力制御の見通しとなっており、全国の半分程度の出力制御量となっている。

出力制御量の経緯
(第51回 系統ワーキング配布資料「再生可能エネルギーの出力制御の抑制に向けた取り組みについて」2024.5.24 をもとに作成)
出力制御量の経緯
九州電力の出力制御量の経緯
(第51回 系統ワーキング配布資料「再生可能エネルギーの出力制御の抑制に向けた取り組みについて」2024.5.24 をもとに作成)
九州電力の出力制御量の経緯

資源エネルギー庁では、出力制御の抑制に向けた対策パッケージとして以下の対策を講じるとしている。

  • ①需要面での対策:出力制御時間帯の需要家の行動変容、再エネ利用
    (家庭用蓄電池・ヒートポンプ給湯機の導入等の需要創出・シフト 等)
  • ②供給面での対策:再エネが優先的に活用される仕組みの措置
    (再エネ発電設備のオンライン化、火力発電の最低出力引き下げ 等)
  • ③系統増強:地域間連系線の更なる増強による域外送電量の拡大等
  • ④電力市場構造:価格メカニズムを通じた供給・需要の調整・誘導

いずれにせよ、再生可能エネルギーを主力電源にしていくためには、早急に需給両面の対策強化を期待したい。

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