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石炭火力発電の燃焼後CO₂回収について

ドイツで5月に開催されたG7(主要7か国)のエネルギー大臣らの会合が行われ、石炭火力発電について段階的に廃止するとの共同声明が発表された。共同声明では、「2035年までに電力部門の大部分を脱炭素化する」ことで合意し、「排出削減対策をとっていない石炭火力発電所は最終的にフェードアウトさせる」と明記された。また、エネルギーの「脱ロシア」に向け、LNG(液化天然ガス)の供給を増やすことが重要だとする認識で一致した。

日本としては、大崎クールジェンの石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)や現在、各社が取り組む石炭火力発電所における燃焼後CO₂回収といった高度なテクノロジーは、G7方針の例外扱いにしなければ技術開発のリスクが高すぎるのではないだろうか。経済産業省には是非とも高度な温暖化対策を実施した日本の火力発電技術だけはG7決定の対象外となるよう、海外各国に向けたロビー活動してもらいたいところ。

今回は、「石炭火力発電の燃焼後CO₂回収」について、紹介する。

三菱重工エンジニアリング株式会社の「新開発アミン吸収液を採用したCO₂回収システム(KS-21TM吸収液を採用したAdvanced KM CDR ProcessTM)」が、(一社)日本機械工業連合会が主催する「優秀省エネ脱炭素機器・システム表彰」において経済産業大臣賞を受賞した。

本システムは、1990年から関西電力株式会社と共同でCO₂回収技術の開発に取組み、実用化しており、より揮発性が低く、劣化に対する安定性が高いCO₂吸収液(KS-21TM)を新たに開発したもの。この吸収液の採用により、従来よりも大幅にコストを削減できるCO₂回収システムを開発している。

従来のCO₂回収システムで、ベンチスケールから大型商用機までのプロセススケールアップを実現してきた経験から、冗長性を低減するとともに、技術改良によりコストを低減している。

【主な特徴】

  • ①却塔を新設計によりコンパクト化
  • ②設計最適化による吸収塔高さの低減
  • ③内部構造の見直しにより再生塔径を低減
  • ④モジュラー設計により建設コストを低減
  • ⑤新たに開発した吸収液(KS-21TM)により再生塔の運転圧力を高くすることが可能となり、CO₂圧縮機動力を10%~15%低減(CO₂圧縮機の費用も低減)

2021年12月現在、本システムを用いたプラントを14基((実証1基含む)納入しており、現在、さらに2基を建設中である。排ガス源の受入れ基準が緩和され、石炭・天然ガス燃焼ボイラ以外の排ガス源にも対応可能で、バイオマス発電プラント、ガスタービン発電プラント、ごみ焼却炉及びセメントプラント排ガスからの CO₂の回収を行い、肥料(尿素)製造や石油増産回収(EOR)の他、直接利用と他の有価物への転換利用を行っている。特にバイオマス発電プラントに本システムを適用することによって、ネガティブ・エミッション(CO₂排出量が正味マイナス)の実現に貢献することができ、今後も多様な排出源からの CO₂回収技術により、解決の道を開き、CCSやCCUSプロジェクトの実現に貢献していくと思われる。

世界各国で進められるCCSやCCUSプロジェクトに対して、価格を抑制したCO₂回収システムを供給することは地球温暖化を防止する上で非常に重要である。今後、CO₂回収の性能向上、回収エネルギーの低減、そして、大量処理の可能性が広がることによって、CCSやCCUSが益々拡大していくことを期待したい。

【参考資料】

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