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船舶における「風力補助推進システム」

世界的にカーボンニュートラルが叫ばれている中、海運業界でも温室効果ガス(GHG)排出量の削減が求められています。

ウインドチャレンジャー

商船三井は無尽蔵のクリーンエネルギー「風」の可能性に着目し、リアルタイムで風向・風速を感知し、帆の伸縮や回転をすべて自動制御する最新かつ独自の技術を駆使した画期的なソリューション「ウインドチャレンジャー(Wind Challenger)」を開発しています。このソリューションを活用し、2022年10月にはウインドチャレンジャーを搭載した10万トン型石炭専用船「松風丸」が竣工。2024年4月までの約18ヶ月にわたり、主にオーストラリアやインドネシア、北米などと日本の往復計7航海の石炭輸送に従事し、実航海で1日最大17%の、1航海において平均5%~8%の燃料節減効果を達成しています。

さらに、商船三井とChevron Shipping Companyは、脱炭素化への継続的な取り組みの一環として、長期用船される新造LNG運搬船にウインドチャレンジャー2基を搭載することに合意しています。本船は、風力補助推進システムを搭載した世界初のLNG運搬船となります。

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また、住友重機械工業子会社の住友重機械マリンエンジニアリングとオリックスは、オリックスが保有するバラ積み貨物船で、風力を活用した省エネルギー運航の実証実験を開始したと発表しました。実証期間は2025年1月まで。既存船の燃費向上を図るとともにグリーンエネルギーを活用した風力装置活用の知見を深め、実用化を目指しています。

実証実験では、船の甲板上に翼の形状をした帆を搭載し(イメージ)、風力を活用して航海中の船の推進力を得るものです。ソフトセイルは高さ8メートル、横幅13・2メートルの特殊プラスチック製。風向きに合わせて帆の角度を調整可能。風力を補助的に利用することで、主燃料である重油の使用量を抑えて二酸化炭素(CO2)排出量を削減する計画です。

海上を航行する船舶においては、無尽蔵に吹く風はその吹き方や方向で、味方であったり、敵であったりする。その風をうまく操り、燃料コストの削減やカーボンニュートラルに期待したい。

【参考資料】

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