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需要家主導による太陽光発電導入促進補助金

近年、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入については、固定価格買い取り制度を柱とした電力の供給サイドに着目した施策が中心となっていたところであるが、カーボンニュートラルを目指すためにはより広範に需要家サイドも巻き込んだ対策が必要であるとの認識から、資源エネルギー庁においては省エネ法を改正し、エネルギーの需要家に対し、エネルギーの使用の合理化に加え非化石エネルギーへの転換についても計画的に進めさせることとしたところである(改正法は令和4年5月に成立し、令和5年4月施行予定)。そして、この施策を進めるための支援ツールとして用意されたのが「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金」である。

令和3年度の補正予算で135億円、加えて令和4年度の当初予算で125億円が用意されており、さらに令和7年度まで継続して実施する予定と発表されている。

補助事業の実施団体は一般社団法人太陽光発電協会であり、令和3年度補正予算を使って、令和4年6月時点ですでに2回補助対象事業者の公募が行われている。補助率は2分の1以内(自治体連携型は3分の2以内)である。

補助対象事業について整理すると次のとおりである。

  • ➀補助対象事業者は「特定の需要家に電気を供給するために新たに太陽光発電設備を設置・所有する者」とされている。つまり太陽光発電による電気を供給するというだけでは補助対象にはならない。補助金の名称そのものに明示されているように前提として「特定の需要家」が存在している必要がある。そしてもう一つ重要な点が「所有する」という条件が付いている点である。過去の類似の補助金ではリース会社と共同での申請ならリースも可とされていたこともあったが、本件補助事業では所有が条件づけられており、さらに一部の特殊な例外を除いて共同申請も認められていない。
  • ➁次に、対象設備については、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の認定計画に含まれないこととされている。つまりFIT/FIPの認定を受けないという条件である。
  • ③規模についての要件は、合計2メガワット以上の新設とされ、単価は1キロワットにつき25万円以下とされている。ただし、1か所で2MWである必要はなく複数地点での新設の合計でもよい(ただし1地点当たりでは30KW以上であること)とされている。
  • ④そして本補助事業の最も特徴的な条件が、ⅰ)8年以上にわたり、ⅱ)導入する発電設備による発電量の7割以上をその特定の需要家(複数でも可)が利用するという契約が、発電事業者(需要家と同一主体でもよい)と小売り電気事業者の間で、そして小売り電気事業者と需要家の間で結ばれているということである。

この条件から補助対象事業にならないものを例示すると、

  • ・自社工場の屋根や敷地に太陽光発電設備を設置して系統を通さずに自家消費する場合
  • ・自社工場とは別の土地に太陽光発電設備を設置して途中は系統を経由して工場に送るが、それを自己託送(小売り電気事業者を介さず、一般送配電事業者の送配電ネットワークを利用して送電)により行う場合

等となる。これらはFIT賦課金の負担のない利用形態であるため、補助金まで出して支援しなくてもよいという判断と思料される。

加えて、この④の条件についてはさらに契約期間の途中での需要家及び小売り電気事業者の変更は認めないとされており、違反があった場合には補助金の返還を求めるとされている。

補助対象事業に関する上記諸条件は令和4年6月時点のものであり、こうした条件は同一の年度内でも公募の都度見なおされることもあるため、その他詳細な条件と併せて、応募に際しては太陽光発電協会のホームページで公募要領を確認の上、大いに活用していただくことが望まれるところである。

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