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水車設計のための流れ解析技術

2018年に閣議決定された第5次エネルギー基本計画により、再生可能エネルギーを主力電源とすることが掲げられ、2030年の電源構成比の達成のためには、水力発電の占める割合として8.8~9.2%必要であることが謳われています。

そのためにも、これまでも相当程度進めてきた大規模水力の開発に加え、現在、発電利用されていない既存ダムへの発電設備の設置や、既に発電利用されている既存ダムの発電設備のリプレースなどによる出力増強、また、未開発地点が多い中小水力についても、高コスト構造等の事業環境の課題を踏まえつつ、地域の分散型エネルギー構造の基礎を担うエネルギー源としても活用することが期待されています。

その中でも、小さな環境負荷で効果が得られる、既存の老朽化した水車発電設備の一部を更新・改造し、出力や発電電力量の増大を目指した事業が活発に行われています。

水力発電用の水車は数十年前には効率90%に達しており、開発の余地は少ないように感じますが、実際には、より高性能になったコンピュータを利用した三次元流れ解析技術の進歩に支えられ、各段の進歩を遂げています。性能の向上は、単に最高効率の向上だけではなく、落差や流量のより広い範囲で安定した高効率運転を可能にしています。

水車の三次元流れ解析とは、コンピュータ上で水の流れ方を数値計算する技術で、水車流路を構成するケーシング・ガイドベーン・ランナ・吸い出し管での水流や水圧の分布をシミュレーションすることができます。従前は計算を行うのに多くの時間を要していましたが、コンピュータの性能が飛躍的に向上していることに伴い、短時間で行うことができるようになってきています。また、コンピュータ上の条件を変えるだけで、水車内の任意の箇所の水流や水圧を測定できるため、既設の水車ランナのみを更新するようなケースでも容易にシミュレーションができ、既設発電所の運用状況に応じた最適化をすることができます。

流れ解析

日本においては、大規模な新設水力発電所の建設箇所は少ないため、水力発電の電力構成に占める割合を増やすためには、既設発電所において、建設当初に想定されていた落差や流量の範囲や変化に対応させることも肝要です。今回紹介した流れ解析技術を利用することにより、模型試験を省略できるケースもあり、設計期間やコストを抑えながらランナやガイドベーンを最新設計のものに更新することにより、エネルギーを最大限効率的に利用していくことが必要になっていると考えます。

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