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地熱の資源量評価における数値シミュレーション(その2)

地熱貯留層数値シミュレーションが実施される順番に概要を紹介します。

  • ① 地熱構造モデル(地熱概念モデル)の構築
    各種地上調査、調査井掘削及び坑井試験実施などにより貯留層に関する多くの情報を基に地熱構造モデルが構築され、このモデルに基づいて数値シミュレーションが実施されます。なお、地熱構造モデルの精度が粗く数値シミュレーションが実施できない場合は、容積法による資源量評価が実施されることがあります。
  • ② 3 次元数値モデルの作成
    地熱構造モデルにおいて検討された熱源、ディスチャージ・リチャージ地域、地質構造、断層分布、流体流動、温度・圧力分布などを基にして数値モデルの範囲が決定され、さらにブロック分割が実施されます。また、各ブロックには浸透率、空隙率、密度、比熱、熱伝導率の岩石物性値が設定され、併せて境界条件(開境界、閉境界)が設定されます。なお、このようなモデル及び流体特性を扱うことができるシミュレータが併せて検討されます。
  • ③ 自然状態シミュレーション
    自然状態シミュレーションとは、生産・還元が実施される前の地熱貯留層の安定した状態(自然流動状態)を再現するシミュレーションであり、掘削された調査井などで得られた貯留層の温度・圧力プロファイルなどをマッチング対象として試行錯誤的に数値モデルが修正されます。モデル修正においては、特に貯留層内流体流動に大きな影響を及ぼすブロックの浸透率や境界条件などが主な調整パラメータとなります。なお、このシミュレーションは貯留層内の流体流動が安定するまで継続して実施され、最終的に安定した状態が開発前の自然状態とされます。
  • ④ ヒストリーマッチング
    ヒストリーマッチングでは、噴出試験で得られる生産井の噴出流体温度(比エンタルピー)や地熱貯留層の温度・圧力などの変化(動的状態)をマッチング対象としたシミュレーションです。このような動的状態のデータとのマッチング作業により、自然状態シミュレーションで構築された数値モデルより精度の高い数値モデルを構築することができます。
  • ⑤ 予測シミュレーション及び経済性評価
    予測シミュレーションは構築された数値モデルを用いて実施され、想定した複数の開発規模(出力)や開発シナリオに基づいてシミュレーションが実施されます。最終的な最適開発規模は、各シナリオにおける出力の持続性(Sustainability)、補充井掘削、スケール問題及び経済性などの観点から総合的に決定されます。なお、近年は生産井からの噴出量予測計算に関しては、貯留層シミュレータと坑内流動シミュレータをリンクして実施されることが多いです。

【参考文献】

  • ・新エネルギー財団(2019):「令和元年度 地熱開発技術者研修会テキスト」

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