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長期脱炭素電源オークションについて

日本のエネルギーの安定供給の再構築に向けて、原子力発電所の再稼働や運転期間の延長等の原子力分野での対策、系統の強化や地域共生のための事業規律の強化等の再エネ分野での対策とともに、電力システム分野での対策の柱となるのが表記の「長期脱炭素電源オークション」である。これについて、令和4年10月3日に総合エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会制度検討作業部会が「第8次中間とりまとめ」を行い、制度の基本的枠組みを固めたので、その内容について整理して報告する。

<制度の趣旨・概要>
太陽光や風力といった不安定な電源を大量に導入していくにあたっては、需給調整のための電源の確保が必要になるが、他方、そうした電源は稼働率が下がってしまい維持することが難しくなる。電力の安定供給のためには「必要な時に発電ができる能力(=容量)」を維持してもらう仕組みが必要で、そのために「容量市場」が設けられている。容量市場を運営する電力広域的運営機関では小売電気事業者等から拠出金を徴収して容量の確保を行っており、現状では主に火力発電がその市場で中心的役割を果たしている。しかし、それらも次第に老朽化していくことになり、中長期的には新規の電源投資が行われるようにしないと電力の安定供給は図れない。しかもそうした新規投資はカーボンニュートラルの方向にも適合していなければならない。かかる観点から、容量市場の一つの形態として容量に寄与する新規投資の確保を目的に整備することになったのが「長期脱炭素電源オークション」である。容量市場の一部として、このオークションの運営も広域機関が行うこととされた。

<個別の論点に係る検討結果の概要>
以下多岐にわたる論点について結論の概要のみ整理していく。詳しくは文末の参考資料を参照していただきたい。

  • ➀対象としては、基本的に「発電・供給時にCO2を排出しない電源(脱炭素電源)への新規投資」(バイオマスや合成燃料を利用するものも可)を広く取り上げる。蓄電池も対象。
  • ➁アンモニア・水素の混焼案件については、新設の場合はLNG火力での混焼なら可、石炭火力は不可。既設の発電所の改修であれば、石炭火力、LNG火力ともに可。混焼率要件(アンモニア20%、水素10%)あり。専焼化に向けてのロードマップの提出は求めるが義務にはしない。また、新設の場合は全体のKWを本制度の対象とするが、既設の改修の場合は混焼部分(残存簿価を含む)のKWのみ対象。なお、グレーアンモニア・グレー水素の利用については当面は対象とする。
  • ③バイオマス混焼については新設・改修とも対象にしない。既設火力のバイオマス専焼への改修は対象とし、さらにバイオマスの供給制約からすぐには専焼化できないものについても認める。
  • ④現在の需給ひっ迫状況を踏まえた暫定措置として、時限的にLNG火力の新設を対象とする。これについてはアンモニア・水素混焼への移行を求めていくこととする。
  • ⑤最低入札容量は10万KWとするが、蓄電池については例外的に1万KWとする。
  • ⓺入札の対象は運転開始前の案件(改修の場合は改修後の運転開始前)とする。
  • ⑦募集量はスモールスタートとし、今後検討。蓄電池については上限を設定。
  • ⓼建設リードタイムについては電源種ごとに必要な期間を設定。
  • ⑨入札価格については、建設費、系統接続費、廃棄費用、運転維持費等(上限設定あり)を織り込めることとする。他市場収益については全電源種一律に0と設定することとし、実際に発生した収益(卸市場等からの収入-可変費)については原則として9割を還付してもらうこととする。また、現在の容量市場でも設定されている供給信頼度に関する特徴に配慮してKW価値を評価する調整係数も設定する。
  • ➉調達方法は、価格競争方式で、マルチプライスオークション。
  • ⑪制度適用期間は全電源共通で20年(より長期間を選択することも可)
  • ⑫費用は現行の容量市場を運営する広域機関が小売電気事業者等から容量拠出金として徴収
  • ⑬現行容量市場のリクワイアメント・ペナルティについては、本件オークションにおいても適用。加えて、供給力提供開始期限(上記⑦)、変動電源に係る年間設備利用率の下限等について追加的条件等を整備。

本件取りまとめを行った制度検討作業部会においては、引き続き2023年度中の第1回オークションを目指してより詳細な検討を進めている。

【参考文献】

  • ・R.4.10 電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会 第8次中間とりまとめ

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