新エネルギー「最近の話題・キーワード」解説コーナ-新エネルギー「最近の話題・キーワード」解説コーナ-

洋上風力について(その5)
―事業者選定の評価に関する修正案―

洋上風力入札のラウンド1は、三菱商事グループが3区域を総取りする結果となった。これを受けて経産省資源エネルギー庁と国土交通省港湾局との合同部会では、見直し案が提示(5月23日開催)、主な事業者等へのヒアリング(5月30日開催)が実施され、ヒアリングの結果を踏まえて修正案(6月23日開催)が示された。ここでは、修正案の概要について紹介する。
(修正案の詳細は、https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/yojo_furyoku/014.html参照)

【全体論】

国民負担の抑制と事業の確実な実施の両立が大原則であることから、供給価格と事業実現性評価の配点は引き続き1:1で評価するとした。

【供給価格評価について】

  • 〇供給価格評価点としては、最高評価点価格を別途設定し、事業者が提案する基準価格が市場価格を十分に下回る一定価格(最高評価点価格)以下の場合、一律満点(120点)として評価する。なお、最高評価点価格の設定は、「調達価格算定員会」の意見を聴取するとした。

価格点算出方法案
(経済産業省資源エネルギー庁と国土交通省港湾局の合同会議(第14回)2022.6.23配布資料から作成)

(当初:秋田2海域・千葉1海域公募)  供給価格点=(公募参加者の最低供給価格/提案者の供給価格)×120点

(今後の公募) 供給価格点=(最高評価点価格/提案者の供給価格)×120点

  • ・事業者が提案する基準価格が市場価格を十分に下回る一定価格(最高評価点価格)以下の場合、一律120点として評価する。
  • ・最高評価点価格の設定は、「調達価格算定員会」の意見を聴取する。

【事業実現性評価について】

(事業実現性)
事業実施能力(80点満点)と地域調整・経済波及効果(40点満点)の合計120点満点で評価。

(事業実施能力)(80点満点)

  • 〇事業計画の迅速性(20点満点)
    • ・ウクライナ情勢を踏まえ、再生可能エネルギーの導入加速に向けた取組は極めて重要であることから切り出して評価。なお、予見可能性の観点から、運転開始時期に関する絶対基準を別途定める。
    • また、エネルギーミックス等の政策目標や日本版セントラル方式の導入等の状況も踏まえつつ、必要に応じて評価の考え方は適宜見直すこととする。
  • 〇事業計画の基盤面(20点満点)
    • ・従来の事業計画の実現性は、計画の基盤面と実行面を評価する要素に分けて評価する。
    • ・事業計画の基盤面としては、事業実施体制・実績(10点満点)と資金・収支計画(10点満点)で評価する。
    • なお、事業実施実績は、従来の独立した評価項目(30点満点)から、トップランナーがいないことに加えて事業実施体制と密接不可分な評価要素であるため事業実施体制(10点満点)の中で評価する。
  • 〇事業計画の実行面(20点満点)
    • 運転開始までに事業計画(15点満点)と運転開始以降の事業計画(5点満点)で評価する。
  • 〇電力安定供給(20点満点)
    • ・従来の「将来的な価格低減策」は評価項目を設定せず、電力安定供給のためのサプライチェーンの強靭性等を重点的に評価するとし配点を拡大した。

(地域調整・経済波及効果(40点満点)

  • 〇関係行政機関の長等との調整能力(10点満点)、周辺航路、漁業等との協調・共生(10点満点)、地域への経済波及効果(10点満点)、国内への経済波及効果(10点満点)の評価とした。

【複数区域同時公募時の落札制限】

  • 従来、「多数の事業者への参入機会を与える観点から落札数に制限を設けることとする」とされたが、「同時に公募する区域数や出力規模を踏まえて公募ごとに適用有無等を判断する」と修正された。
  • 〇従来、「複数区域に応札する場合、公募占用計画の代表企業はすべて同一企業とする」とされたが、同一企業とみなす判断基準を別途設定するとした。

【事業者選定時の公表事項】

  • 〇公募プロセスの透明性確保の観点から、選定事業者及び非選定事業者についても事業者選定時に一定の内容を公表するとされた。なお、予め公募参加者から公募占用計画提出時の同意を得ることとした。
  • 〇公募占用計画の評価に係る第三者委員会については、事業者選定終了から一定期間後に委員名を公表する方向で検討するとされた。

今後は、今回議論した見直し内容を踏まえて「一般海域における占用公募制度の運用指針」の変更を行い、パブコメを実施し(2022年7月~8月頃)、次回の公募(秋田県八峰町能代市沖)に適用するとのことである。

事業実現性の評価方法案
(経済産業省資源エネルギー庁と国土交通省港湾局の合同会議(第 12回)2022.5.23配布資料を抜粋)
事業実現性の評価方法案
ページトップへ