6.ラオス国におけるナムニアップ第一水力発電所新設計画のCDM事業可能性調査
 
6.1 対象国とカウンターパート
(1) 対象国:ラオス人民民主共和国
(2) 主な関係機関・カウンターパート:
・ラオス国側
工業手工芸省電力局 (Department of Electricity, Ministry of Industry and Handicrafts)
科学技術環境庁 (Science Technology and Environment Agency)
ラオス電力投資会社(仮称;Lao Holding State Enterprise)
・タイ国側
天然資源環境省 (Ministry of Natural Resources and Environment)
タイ電力公社 (Electricity Generation Authority of Thailand)

6.2 プロジェクト概要
(1) プロジェクト種別:水力発電所の新設
(2) 水系河川名:メコン河水系ナムニアップ川
(3) 発電方式:ダム式/貯水池式
(4) 最大出力:260,000kW
(5) 年間発電電力量:1,330,000MWh
(6) GHG排出削減量:12,200,000 t-CO2/21年間

6.3 ベースライン
本プロジェクトのベースラインの設定では、本プロジェクトによる発電電力の全てをラオス国からタイ国へ輸出することから、タイ国の系統全体をベースライン境界と想定した。本プロジェクトのように、新たな貯水池を伴う水力発電によるGHG排出削減量の算定については、CDM理事会から承認を受けた方法論はないものの、系統へ接続することにより、他の化石燃料の燃焼を伴う発電を代替するものであることから、統合化方法論(ACM0002)による方法を用い、コンバインドマージンによる原単位を採用した。
ただし、プロジェクト排出量のうち、貯水池からのメタン発生量の算定において、それを予測する手法については研究段階であり確立されたものはないことから、文献調査や有識者の意見等を踏まえ、できる限り合理的な排出量の算定を試みた。しかしながら、メタンの発生量の算定等に際しては、さらに検討が必要である。

6.4 経済・財務分析
本プロジェクト実施に必要なコストを算定し、想定される売電単価、借入金利及びCER等を検討の上、経済・財務分析を行った。その結果、CERにより総事業費の一部が調達されることで、採算性が確保できる見通しを得た。ただし、貯水池からのメタン発生量の予測値には変動や誤差を伴うことから、これらリスクへの検討がさらに必要である。

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