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「アンモニア」エネルギー・キャリアとしての可能性

「エネルギー・キャリア」とは、文字どおり解すれば「エネルギーを運ぶもの」であるが、ここで言う「エネルギー・キャリア」は、「水素エネルギーを輸送、貯蔵する手段」という意味で使われている。水素を燃焼させることによって得られる水素エネルギーは、燃焼時にHO₂(水)しか排出しない。そして水素は、コストを考えなければ、再生可能エネルギーと地球上に豊富に存在する水から、無尽蔵につくることができる。水素エネルギーは、そういう意味では夢のエネルギーと言われているが、その利用にあたっては、その基本物性に由来するいろいろな問題を解決する必要がある。

燃料としての水素の問題の一つは、水素は重量当たりの発熱量はガソリンの約3倍に上るほど大きいが、水素は常温(25℃)で1m³あたり約82 gの密度しかないため、ガソリン1リットル燃焼したときに得られる発熱量32.9 MJと同じ発熱量を水素から得ようとすると、水素約3,000リットルが必要となる。体積当たりの水素密度が低すぎるのである。つまり、水素は、輸送、貯蔵などの取り扱いが非常に難しい物質ということを意味する。

そこで水素を体積当たりの水素密度が大きく取扱いが容易な別の物質に変換して運び、燃料として使用する際にその物質から水素を取り出して利用するといった方法が考案されている。それが「エネルギー・キャリア」である。取り扱い易さという点から、常温に近い条件のもとで液体であり、体積当たりの水素密度が大きな物質が物性的「エネルギー・キャリア」として優れていることになる。

アンモニア(NH₃)は、常圧下で -33℃、または、常温で8.5気圧といったマイルドな条件で液化する。水素エネルギーの大量輸送、貯蔵に係る問題はNH₃には存在しない。臭気と急性毒性についても、直接吸入や直接接触した場合の急性毒性はあるものの、空気中や水中で急速に分解するので、通常は人が直接吸入や直接接触する可能性は小さい。NH₃は世界で最も多量に使用されている化学物質の一つである。

そのNH₃が直接、発電や工業炉向けの燃料として利用できれば、水素を取り出すために必要となる相当量のエネルギーと熱源が不要となるので、「エネルギー・キャリア」として、NH₃はさらに大きな優位性を持つこととなる。

現在、発電用ガスタービンでの直接燃焼、微粉炭発電ボイラーでの混焼、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の燃料への活用などの実証実験が各地で進められており、今後の動向に大いに期待したい。

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