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アグロフォレストリーとは

農業と林業を掛け合わせたアグロフォレストリーが熱帯地域を主に世界で広がっている。気候変動の主因といわれる二酸化炭素(CO₂)の吸収源である森林を伐採して農地を確保する従来の手法を改善し、森林保護と農業を両立させながら、気候変動に対応できるためだ。世界各国で現在、6億ヘクタール以上で普及している。

アグロフォレストリーに熱心な国の一つがアイルランドだ。政府は毎年7%ずつ温室効果ガス総排出量を減らして30年までに(20年比)51%削減、50年までに排出量ゼロにするという野心的な目標を掲げている。その中で、農業を食料生産の手段だけでなく、温室効果ガス削減の公益産業に位置付け、農家による森林保護を推進するとした。その事業の中では全農家に野生生物カレンダーを作成することを促す。農家は、自身の土地で見かける野生生物や植物の様子をカレンダーとして作成し、政府生物データ管理部門に提出する。カッコウ鳥の初鳴きやカエルの出現、スピノサスモモ(スモモ属の低木)の開花など。政府は、農家のカレンダーに基づき、季節変化に伴う動植物の動態変化と気候変動への影響を究明し、関連対策の構築に役立てる。

インドのモディ首相は20年7月、アグロフォレストリーと森林生態系保護の重要性を強調し、林業を政府の重要戦略として取り組むと宣言した。50年までにアグロフォレストリー実施面積を、現在の1350万ヘクタールから8700万ヘクタールに増やす目標も打ち出した。各自治体では海外財団などと連携し、積極的にアグロフォレストリーに取り組んでいる。

米国の非営利シンクタンクのプロジェクト・ドローダウンの推計によると、世界でアグロフォレストリーに取り組む規模は約6億5000万ヘクタール。50年までに7億7000万ヘクタールに増やした場合、温室効果ガスを30年間で最大42億トン削減できる。(平均でみると最大年間1.4億㌧削減になり、これは日本の年間排出量約12億トンの10分の1量を毎年減らす計算になる。)

<用語> アグロフォレストリー
農業(アグリカルチャー)と林業(フォレストリー)を掛け合わせた造語で、東南アジア諸国やアフリカなどの熱帯地域を中心に進められている。生物多様性を生かした資源循環型の耕作畜林複合経営が理念。樹木を植え、森林を管理しつつ、その間の土地で農作物の栽培や家畜の飼養を行う。アグロフォレストリーでCDM 植林を行うためには、持続的な収益を得られることが求められるため、プロジェクトごとに検討される。

【出典参照】

  • ・林野庁HP、日本農業新聞
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