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あきた次世代エネルギーコンソーシアムが発足

7月5日に秋田県内の企業が中心となって、水素やアンモニアなどの次世代エネルギーのサプライチェーン構築を目指し、課題の共有や調査・研究、ビジネスモデルなどを検討する「あきた次世代エネルギーコンソーシアム(ANEC)」が正式発足した。設立発起人は、秋田大学理工学部システムデザイン工学科教授の浜岡秀勝氏、秋印代表取締役の三浦征善氏、秋田いすゞ自動車社長の辻󠄀良之氏、秋田海陸社長の西宮公平氏、ウェンティ・ジャパン社長の佐藤裕之氏、大日本コンサルタント執行役員環境エネルギー推進部部長の酒井康弘氏、三国商事社長の三國晋一郎氏。

世界の150カ国以上がカーボンニュートラルを宣言するなど、カーボンニュートラルに向けた取組みは世界規模で広がっており、我が国においても、2020年10月に当時の菅総理が「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、再生可能エネルギーの導入や水素・アンモニアなどの次世代エネルギーの実用化に向けた取組みが進められている。さらに、2023年4月には、政府が6年ぶりに「水素基本戦略」を改定し、2040年までの水素供給量を現在の6倍となる年1,200万トンとする新たな目標を盛り込む方針を明らかにしている。

秋田県は、全国で最も人口減少率が高く、県内総生産も伸び悩むなど、持続可能な地域づくりに大きな課題を抱えている。しかしながら、洋上風力発電など良好な風況を活かした風力発電開発が進められており、脱炭素化の推進やエネルギー安全保障の確立への大きな貢献が期待されている。

本コンソーシアムは、秋田県内における水素エネルギーなどの普及・拡大に向けたビジネスモデルを開発・構築し、検証するなど、秋田県を起点とした全国各地での次世代エネルギー利用による地域振興を通じて、持続可能な社会の実現に寄与することを目的としている。

まず、Step0として、ウェンティ・ジャパン(秋田市)などの運営する「秋田潟上ウインドファーム」(合計出力66MW)の余剰電力を活用する水素製造拠点を整備する。その後、Step1では2030年想定で秋田市内および港湾周辺への水素供給、Step2では2050年想定で県外への水素供給を目指している。本事業は環境省のFS(事業性評価)事業に応募し、2022年8月に採択されている。

あきた次世代エネルギー

製造過程で温暖化ガスを排出しない「グリーン水素」を活用した取り組みが注目されている。今回、秋田県の事業モデルづくりを目指し、企業が連携した取り組みは画期的であり、全国各地における再エネ事業の地域活性化にもつながるものである。今後も本事業の動向に注目したい。

※参考資料

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