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「エネルギーの世界を変える。22人の仕事」紹介

本書の発行日は2015年4月(学芸出版社)と少し古い。監修は京大大学院経済研究科・諸富徹教授、編著は若手再エネ実践者研究会です。

エネルギーの世界を変える。22人の仕事

「はじめに」にある諸富教授の言葉を引用すると、「『自然エネルギー』と『地域』という視点を共有する若い人々が結集」とあります。FIT制度導入、電力・ガスシステム改革を受けて、分散型エネルギーシステムへの移行、自然エネルギー活用の動きが具体化した時代の執筆です。「自然エネルギー」「地域」をキーワードにした著作、論文などはこれまでも数多くあります。この本のユニークな点は自然エネルギー関連で働く若者を次の様な分野に分類して紹介していることです。

  1. 自然エネルギービジネスの現場で働く
    (12名)
  2. 自然エネルギー事業を支える現場で働く
    (5名)
  3. 自然エネルギー政策・研究の現場で働く
    (5名)

1.「現場で働く」ではエネルギー供給事業者として取り組んでいる方が5名。バイオ、太陽光、風力、温泉バイナリーなどを供給源としています。また、自然エネルギーに関わるデータベース制作会社の方もソフト提供事業者として紹介。事業者だけでなく、メーカー社員、大手新電力会社社員、銀行員、国家・地方公務員、NPOなど各分野で自然エネルギーに関わりながら、多様な問題意識で取り組んでいる方の実情がわかります。

本書の出版から既に5年が経過しています。昨年には再生可能エネルギーのコスト低減進行によりFIT制度依存の売電モデルから脱却し、需要と供給が一体となった需給一体型モデルが需給範囲ごとに提唱されました。この著作にある「地域」という視点でのモデル検討も進められています。更に、分散型エネルギープラットフォームが昨年末に開催されるなど、地域での取組動向がFIT後の再生可能エネルギー拡大の中、注目されています。取り組みの多種多様な実例に関心のある方にはご一読をお勧めします。

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