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液体水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」

「水素」は、地球温暖化対策のカギとなる次世代のエネルギーの一つとして注目されている。燃焼時等に二酸化炭素などの温室効果ガスが発生しない特性を持ち、発電や燃料電池などでの活用が期待されている。「水素」はそれ自体新エネルギーではないが、新エネルギーと非常に繋がりの深いエネルギーである。

今後、水素が、石油や天然ガスと同じように一般的に利用される社会の実現に向けて、2016年に技術研究組合「CO2フリー水素サプライチェーン推進機構」が結成され、NEDOの支援を受けながら、経済的かつ安定的に大量の水素を調達するためのエネルギーサプライチェーンの構築に向けた技術開発が進められている。

その一環として、2020年3月9日、川崎重工業株式会社神戸工場において「世界初」の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」の命名・進水式が行われた。今後、同社播磨工場で製造している1,250m3の液化水素貯蔵タンクを搭載し、2020年秋頃に竣工の予定。竣工後、2020年度に実施される国際水素エネルギーサプライチェーン構築に向けた技術実証試験の一環として、豪州で製造された液化水素を日本へ輸送することが計画されている。

本船は、マイナス253℃に冷却され、体積が気体の800分の1となった液化水素を、安全かつ大量に長距離海上輸送するために開発された。液化水素貯蔵タンクは内外2つ重ねてその間を真空にする「真空断熱二重殻構造」を採用し、内側タンクの支持部にヘリコプターのローターブレードにも使われる高い強度を持ちつつ熱伝導を抑制することが可能なガラス繊維強化プラスチックを使用している。陸上用液化水素タンクや液化天然ガス用タンクの製造で培った極低温設備の製造ノウハウを集結し、究極の断熱性能を実現している。

現在、液化水素運搬船のほか、液化水素の受入基地を兵庫県神戸市に、褐炭ガス化設備を豪州に建設中である。また、2018年からガス精製設備、水素液化・積荷基地なども、豪州に建設中である。

以前、LNGを燃料とする火力発電所の燃料設備の建設を担当した際、初めてLNG船を受け入れ、燃料の貯蔵・供給設備のクールダウンを実施した際に、低温燃料を扱う際の機器管理の難しさを経験した。LNGは-162℃であるが、液体水素の温度はそれよりもさらに約100℃低い。技術者の方々のご苦労を察するに余りある。

水素の製造から利用までを進めるサプライチェーンの構築は、政府の統合イノベーション戦略推進会議が決定した「革新的環境イノベーション戦略」でも改めて位置づけられ、2050年頃にCO₂フリー水素の製造コストを10分の1以下にして天然ガス並みの価格に低下させるなど、既存のエネルギーと同等のコスト実現を目指すとしている。

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