インバランス料金制度の見直し(その3)
―再エネ発電量予測とインバランスへの影響―
現状でのエリアインバランス(発電インバランスと需要インバランスの総和)において小売電気事業者が対応している需要予測より、再エネ発電事業者が対応している発電量予測誤差のほうがはるかに大きくインバランス発生の主要因となっている。
特に、太陽光発電の発電量予測外れが大きく影響しており、2017年の実績では、太陽光発電の発電量予測外れがエリアインバランス量に近いところまでを占めている。一方、同時期における風力発電の予測外れについては、エリアインバランス量の数%程度であり影響は小さいことが確認されている。
上記データに示す通り、特に、太陽光発電のインバランスに与える影響は大きく、再エネの市場への統合に際しては、インバランス精算による負担が事業収支に大きな影響をあたえることとなる。このため予測外れを緩和する対策等の検討が必要であり主なものとしては次の通りと考えられる。
- ①卸市場の整備:天候に左右される再エネは、実需給に近づけば近づくほど予測はずれが少なくなる傾向があるため、卸市場についても市場終了時間(ゲートクローズ)を実需給に近づける検討が必要ではないか。
- ②発電量予測精度向上:気象予測情報の精度向上を含めた発電量の予測精度向上に関する技術開発やサービスの展開が必要ではないか。
- ③アグリゲータによるならし効果:アグリゲータが、多地域の風力や太陽光などの自然変動電源をまとめることで局所的天候変化の発生時にインバランス負担をならす効果が生まれるためアグリゲータの役割も重要なポイントである。
- ④インバランス負担軽減措置:再エネ事業者の習熟が進むまでの軽減措置として負担軽減の仕組みが必要ではないか。