新エネルギー「最近の話題・キーワード」解説コーナ-新エネルギー「最近の話題・キーワード」解説コーナ-

一般財団法人エネルギー総合工学研究所について

一般財団法人エネルギー総合工学研究所(IAE)は、昭和53年に設立された研究機関であり、エネルギー技術全般を体系的かつ俯瞰的に把握し、そのなかから将来のエネルギービジョンを立案・提示することを通じ、学術と実社会を繋ぐ役割を果たすことを目的として活動している。主たる活動領域は40年の歴史とともに変化してきていて、現在は、①地球環境、②新エネルギー・電力システム、③炭素循環、④水素、⑤原子力の5分野を中心に活動している。活動領域としては、⑤の原子力を除けば当財団の活動領域と重なる部分も多いが、当財団の活動が主に実社会での「導入普及」のための活動であるのに対し、エネルギー総合工学研究所の活動は将来に向けての「構想と準備」が中心であるため、相互に補完しながら活動しているところである。以下に、同研究所の活動のポイントについて解説する。

  • (1)地球環境関連
     同研究所の地球環境システム分析評価ツールであるGRAPEモデルを活用し、2050年のカーボンニュートラルに向けた脱炭素技術の評価等を行うとともに、IEAのエネルギー研究技術委員会の下で行われている研究開発プライオリティ設定に関する専門家会合に参画し、支援を行っている。
  • (2)新エネルギー・電力システム関連
     2050年に向けた次世代電力ネットワーク社会の姿を描くことを目標に設けられた「次世代電力ネットワーク研究会」の運営を行うとともに、需給調整市場における需要家側エネルギー資源活用の調査研究、地域における熱エネルギーの有効利用の検討等を行っている。
  • (3)水素エネルギー関連
     「CO2フリー水素普及ネットゼロエミビジョン研究会」を運営し、モデル分析による将来の水素需要量等の分析結果を提示する等によりゼロエミ水素ビジョンのイメージの共有化等を実施。
  • (4)炭素循環エネルギー関連
     CO2分離・回収技術の開発状況の調査、海外再生可能エネルギー利用CO2フリー燃料の経済性検討等を行っている。
  • (5)原子力関連
    • ①小型モジュール炉(SMR)等海外の原子力開発動向について調査するとともに、IAEAの安全基準の改定作業等を学識経験者等の協力の下に支援。
    • ②原子力の安全性向上に資する課題を選定し、技術開発を推進するとともに、シビアアクシデント解析コードSAMPSONを用いて、福島第1原発事故の解析等を行っている。
    • ③原子力発電所の廃止措置の最適化に向けて、有識者による委員会を設置して、検討を進めるとともに、廃止措置を担う人材を育成するための人材の育成事業を実施している。

これらのほか、同研究所では、月例研究会の開催、季刊エネルギー工学の出版、賛助会員向けメールマガジンの発行、シンポジウムの開催等の活動を精力的に行っており、今後のさらなる展開が期待されるところである。

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