地球温暖化の原因を減らすことは、今やグローバルな課題になっています。
地球温暖化(地球を覆う保温力)を高めるガスとして、CO2のほかに、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、フロン類などのハロドロカーボンなどがあり、対流圏のオゾンも温室効果をもたらします。しかし、なんといってもCO2は量が多く、温室効果ガスの主役とみられています。
エネルギー分野においては、二酸化炭素(CO2)排出量の少ないエネルギー資源への転換をはかること、省エネルギーに努めることなどが大切です。また、CO2利用では、ドライアイス利用や原油等を採掘する際により多くの生産量を得るために水やCO2を圧入利用していることは既知のことです。加えて、CO2を分離・回収して地中に貯留する「CCS」、分離・回収したCO2を利用する「CCU」も、大気中のCO2を削減するための重要な手法として研究が進められています。
CO2の利用についてさらに考えてみましょう。
まず、カーボンリサイクルとしての利用としては次の例があげられます。
現在、バイオマス利用ではカーボンニュートラルと言われていますが、さらに、その利用の中でCO2を減らすことはバイオマスの分野でも必要になってきています。
CO2の利用は植物においては光合成で使用され、バイオマスとして固定化されています。その固定化の速さと量は植物によって異なっていますが、オランダ等での温室農業では、バイオガス発電機で生まれる電気のほか、排熱も利用する「コージェネレーション(熱電併給)システム」が、エネルギーの利用効率が高い省エネ技術として広まりつつあり、加えて、排気に含まれるCO2をも有効に使う「トリジェネレーションシステム」と呼ばれる仕組みも注目され始めています。
トリジェネレーションには、CO2を作物の生育増進に利用する「農業トリジェネレーション」と、アルカリ廃液の中和に利用するなど、工業的に使う「工業トリジェネレーション」がありますが、世界的に上記の農業利用が広まっています。
農業トリジェネレーションでは、排気から積極的にCO2を分離し、大気CO2の約2倍高濃度に高めて農業に利用して(CO2濃厚農業)、生産性を約25%程高めています。
これは、オランダで先駆的に始められ、米国に広がり、日本でも、大阪ガスや農業・食品産業技術総合研究機構花き研究所などが、農業トリジェネレーションの導入に取り組んできています。大気中のCO2濃度は、通常360PPM(1PPMは100万分の1)だが、同研究所の実験結果を見ると、CO2濃度を700~1000PPM程度(大気中の約2倍濃度)に上げると、葉野菜で25~30%、果物で20%程度、花きでは40%程度の収穫増が認められているようです。
実際の畑での導入例としては、大阪ガスが茨城県つくば市と協力して、同市内の花き栽培農家でガスエンジンを使ったトリジェネレーションを構築した実績もあり、営業ベースでも、トヨタ自動車系の花き生産・販売会社、トヨタフローリテック(青森県六ケ所村)が、マイクロガスタービンを使ったトリジェネレーションを導入、年間約400万鉢を生産していたとのことです。
【ご参考】