2023年11月30日から12月13日まで、ドバイ(アラブ首長国連邦)において「COP28」が開催された。
ここでは、「COP28」の注目ポイントと我が国の現状についても併せて紹介する。
パリ協定では、長期目標の実現に向けて、世界全体の気候変動対策がどの位進んでいるかについて5年毎に評価することとなっている(これをグローバル・ストックテイク(GST)と呼んでいる)
今回、パリ協定発効以降、初めてGSTが実施された。GSTの位置付けは下記に示す通り、各国は5年ごとにおこなわれるGSTの結果を踏まえ、自国の温室効果ガスの排出削減目標(NDC)を更新する。さらに各国は、策定したNDCに向けた施策を実施し、その報告を2年ごとに提出しなければならないこととなっている。
COP28で採択されたGST成果文書の主な事項は次の通りであり、注目すべきポイントとしては、エネルギーに関する合意ができたことである。具体的には化石燃料からの脱却を図り、2030年までに世界の再生可能エネルギー発電容量を3倍にし、かつ省エネ改善率を世界平均で2倍にするとしている。日本を含む各国は、この成果文書を参照して2025年2月までに、次期目標(2035年目標)を立て提出するスケジュールとなっている。
GST成果文書の主な事項
(資源エネルギー庁スペシャルコンテンツより抜粋)
日本は、温室効果ガス削減目標を、2030年で2013年比、46%削減、2050年に完全なカーボンニュートラルを実現することを目指している。現状、削減量の進捗としては、目標ライン上に乗っており、他国と比較して着実に排出を減らしている「オントラック」の国と言える。
この削減目標の達成のため再生可能エネルギーの導入目標としては、2030年において発電電力量を電源構成の36%~38%(発電電力量3360~3530kWh)としている。2012年のFIT制度開始以降、再生可能エネルギー導入は2倍以上に増加(2011年度10.4% → 2022年度21.7%)している状況である。
日本は、2021年に作成したエネルギー基本計画の見直しを2024年に予定している。今回の合意を踏まえて、世界での1.5℃目標の実現を可能にするような2035年目標を2025年までに策定し、その達成に向けて、気候変動対策をさらに加速させることと考える。
最後になるが、地球規模でのCO2排出削減には、主要排出国(1位:中国、2位:米国、3位:インド、4位:ロシアなど)の取組が鍵を握る。特に米国において2024年の大統領選でトランプ氏が復権すれば再びパリ協定から脱退する可能性が高まることが懸念される。