FIP制度は、再エネ自立化へのステップアップとして、市場価格に一定のプレミアを上乗せし普及を支援する制度であり、今月(2022.4)からスタートしている。資源エネルギー庁では、FIP制度による収入等を簡易的にシミュレーションできるツールをFIP制度の施行に先立ち公開(2022.2.9)しており、ここではその概要について紹介する。
本簡易シミュレータは、電源種や発電エリア、基準価格等を入力すると、卸電力取引市場の価格等を踏まえたプレミアムや収入が計算される。以下に太陽光発電を入力情報としたシミュレーションの概要を示す。
(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/FIP_index.html#fip_more 参照)
シミュレーションのアウトプットとしては、月毎の単価(円/kWh)(市場収入とプレミアム毎)、月毎の収入額(万円)(市場収入とプレミア毎)である。また、月毎の平均市場価格や参照価格についても参考データとして示されている。
上記入力情報によるシミュレーション結果は、以下に示す通り、年度収入74万円(市場収入年度合計41万円+プレミアム年度合計33万円)となった。
FIT制度の場合の年度収入約75.3万円(50×24×365×0.172×10)と比較するとやや減少傾向となっているが、九州エリアの市場価格が前年度、当該年度とも高騰や下落などの大きな変化がないこともあり年度収入も大差がない結果となったものと考えられる。
本シミュレーションは、発電パターンが一定としているが、年間、月、日の価格差を利用して、市場価格が高い(需要が高い)時間帯に売電すること等で更なる収益を確保することが可能である。
なお、本シミュレーションにより計算されるプレミアムには、非化石価値やバランシングコストなどが考慮されていないので注意を要する。