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FIP制度への移行について(その5)
―FIP簡易シミュレータの紹介―

FIP制度は、再エネ自立化へのステップアップとして、市場価格に一定のプレミアを上乗せし普及を支援する制度であり、今月(2022.4)からスタートしている。資源エネルギー庁では、FIP制度による収入等を簡易的にシミュレーションできるツールをFIP制度の施行に先立ち公開(2022.2.9)しており、ここではその概要について紹介する。

本簡易シミュレータは、電源種や発電エリア、基準価格等を入力すると、卸電力取引市場の価格等を踏まえたプレミアムや収入が計算される。以下に太陽光発電を入力情報としたシミュレーションの概要を示す。
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/FIP_index.html#fip_more 参照)

【入力情報】

  • 電源種:太陽光発電
  • 年度:2019年度
  • エリア:九州
    (計算のためには、前年度及び対象年度の2年分の卸電力市場価格のデータ(30分コマ単位)が必要となる。このシミュレータでは、2019年度の九州エリアについては卸電力市場価格等のデータが入力済み(但し、データ容量が膨大なためダウンロードに注意)であるが、それ以外については、自身での入力が必要とされている)

【電源種の諸元】

  • 基準価格:10円/kWh
    (FIP制度における基準価格は、FIT制度における買取価格と同じ額)
  • 設備利用率:17.2%
    (九州エリアの平均設備利用率データ等が入力されており、設備容量に応じた発電電力量が計算されている)
  • 設備容量:50kW

【シミュレーション結果】

シミュレーションのアウトプットとしては、月毎の単価(円/kWh)(市場収入とプレミアム毎)、月毎の収入額(万円)(市場収入とプレミア毎)である。また、月毎の平均市場価格や参照価格についても参考データとして示されている。

上記入力情報によるシミュレーション結果は、以下に示す通り、年度収入74万円(市場収入年度合計41万円+プレミアム年度合計33万円)となった。

FIT制度の場合の年度収入約75.3万円(50×24×365×0.172×10)と比較するとやや減少傾向となっているが、九州エリアの市場価格が前年度、当該年度とも高騰や下落などの大きな変化がないこともあり年度収入も大差がない結果となったものと考えられる。

本シミュレーションは、発電パターンが一定としているが、年間、月、日の価格差を利用して、市場価格が高い(需要が高い)時間帯に売電すること等で更なる収益を確保することが可能である。

なお、本シミュレーションにより計算されるプレミアムには、非化石価値やバランシングコストなどが考慮されていないので注意を要する。

シミュレーション結果
(太陽光発電、50kW、九州エリア、資源エネ庁簡易シミュレータによる)
シミュレーション結果
【参考】FIP制度における収入について
(再エネ大量導入・次世代NW小委員会2022.2.14 配布資料より抜粋)
【参考】FIP制度における収入について
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