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JOGMECの新規業務等について

2022年5月13日にエネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)等関連する五つの法律の一部改正を一括して行う法律が成立した。その中にJOGMEC法の改正が含まれており、同改正法は2022年11月14日に施行されたのでそれについて紹介する。

JOGMECは2004年2月29日に石油天然ガスの安定供給確保の役割を担ってきた石油公団の機能と非鉄金属鉱物資源の安定供給確保の役割を担ってきた金属鉱業事業団の機能を集約して設立された独立行政法人である。その後累次にわたる法律改正により、機能の強化を図るとともに、2012年9月にはNEDOから石炭と地熱の資源開発にかかる支援業務等の移管を受けている。

今回の法律改正により、これらの業務に加えて、次のような業務の追加を行うこととされた。下記①~④は改正法の施行とともに実施され、⑤⑥は2023年4月から実施される。

  • ①水素・アンモニア等の製造・貯蔵への出資・債務保証
    従来その位置づけが不明瞭であった水素・アンモニアをエネルギー供給構造高度化法において非化石エネルギー源として位置づけ、脱炭素燃料として利用を促進することとしたことに伴い、それに合わせて、JOGMECが海外及び本邦における水素・アンモニア等の製造・貯蔵事業への出資・債務保証を行う。
  • ②二酸化炭素の回収・貯留事業への出資・債務保証及び地質構造調査等
    二酸化炭素の回収・貯留(CCS)事業への出資・債務保証を行うこととし、さらにCCSの適地の調査業務等を行う。
  • ③国内における洋上風力発電に必要な地質構造調査等の実施
    再生可能エネルギーの主力電源化の切り札ともいえる洋上風力発電については、現状では複数の事業者が同一の海域で重複して調査を行い非効率であるうえ、地元漁業者との操業の調整もそれぞれにとって負担となっている。こうした弊害を除くため政府が主導してサイト調査等を行うこととし、その担い手としてJOGMECが洋上風力発電設備の基本設計に必要な地質構造調査等を行う。
  • ④国内における金属鉱物の選鉱・製錬への出資・債務保証
    蓄電池等に必要なレアメタル等の金属鉱物の国内での選鉱・製錬事業へ出資・債務保証を行う。
  • ⑤海外における地熱の探査への出資業務
    我が国における地熱開発を促進すべく、不足する技術を獲得し、本邦地熱開発事業に技術を還流すべく、海外の探査事業に出資する。
  • ⑥省エネ法等に基づく情報提供業務等
    省エネ法、高度化法、さらに電気事業法等に基づく情報提供事業等を行う。

上記の各業務はいずれも将来のカーボンニュートラル社会の実現に向けて必要な事業であるが、現状ではかなり難易度が高そうである。JOGMECがこれまでに蓄積してきた知見をさらに一層ブラッシュアップして対応していくことが期待される。

そして、今回のJOGMEC法の改正にはもう一つ重要なポイントがある。それがJOGMECの正式名称の変更である。水素や風力にかかる業務が追加されることを受けて、上記①~④の業務の開始日である2022年11月14日からJOGMECの正式名称が「独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構」から、「独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構」に変更された。英語の名称も「Japan Oil, Gas and Metals National Corporation」から「Japan rganization for Metals and Energy Security」となる。なお、略称は従来通りJOGMECで変わらないとのことである。

なお、JOGMECについては、上記の新規業務以外に、さらに令和4年11月11日に成立したガス事業法等の一部改正法により、新たに緊急時におけるガスの製造の用に供する液化天然ガスの調達(緊急時における発電用の燃料の調達については令和2年10月に措置済み)についての業務が追加されている。この改正法は、現時点ではまだ施行されていないが、令和5年1月ころまでには施行される見通しである。

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