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ブルーアンモニア

「ブルーアンモニア」とはCO₂フリーアンモニアの中で、化石燃料由来であるが、CO₂のオフセットされているものを指している。つまり、天然ガスから製造されたアンモニアであるが、製造時に排出されるCO₂を分離回収し、EOR(石油増進回収)やCCU(CO₂回収貯留)に利用することから、カーボンニュートラルな燃料として「ブルーアンモニア」と呼ばれている。

株式会社 IHI(以下IHI)は、一般財団法人日本エネルギー経済研究所とサウジアラビアン・オイル・カンパニー「サウジアラムコ」が進める「ブルーアンモニア」のサプライチェーン実証試験に協力し、この「ブルーアンモニア」の一部を横浜事業所の2,000kW級ガスタービンの燃料として利用する混焼試験を開始している。

IHIは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託事業で、ガスタービンと石炭火力用バーナにおいて、アンモニア混焼技術の高度化に関する研究開発を実施しており、ガスタービンにおいては、熱量比率50%以上のアンモニア混焼を目指し開発を進めている。その実証事業において、天然ガスとアンモニアの混焼試験燃料に「ブルーアンモニア」の使用している。

また、石炭火力用ボイラにおいては、相生工場(兵庫県相生市)内の大容量燃焼試験設備における微粉炭とアンモニアの混焼試験で、「ブルーアンモニア」を使用している。 これらは「ブルーアンモニア」を用いた世界初の混焼試験となる。

アンモニアは、発電等に直接利用が可能であり、燃焼時にCO₂を出さない燃料として、温室効果ガスの排出量削減に大きな利点があると期待されている。また、すでに肥料・工業原料に広く使用されており、供給インフラに技術的な問題がないことから、早期に社会実装が可能と考えられている。

CO₂を排出しない燃料としてのアンモニアの社会実装は、燃料の製造側と利用側がともに取り組むことで実現する。今回の試験は、製造側と利用側を繋げる重要な一歩として、役割は非常に重要である。今後ともアンモニアのエネルギー利用による脱CO₂への貢献を目指し、技術開発を進められることを期待したい。

【ご参考】

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