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バイオマス熱利用、バイオマスコジェネ、バイナリー発電

バイオマスのエネルギー利用については、大規模に直接燃焼させるバイオマス発電やバイオマスガス化による発電、また、湿潤系バイオマスによるメタン発酵バイオガス発電の利用の仕方があるが、発電以外にも熱そのものを利用する方法がある。

熱の利用では、温室の加温や木材の加熱、低沸点媒体の加熱等、使用温度域が発電の場合よりかなり低く、40℃~160℃程度での利用になる。

この利用法は、温室等に使用されるような小規模の場合は小型ボイラのみでの使用の場合、水蒸気を発生させて発電で使用した後の排熱を板の加熱加工等で使用するバイオマスコージェネレーション(バイオマスコジェネ)の場合、また、発電した後の排熱で低沸点有機媒体を加熱蒸発させてその蒸気で発電をするバイナリー発電での利用の場合等がある。

  1. バイオマス熱利用
    木質バイオマスを木片のままやチップやペレットにして、温室のそばに置いた小型ボイラで燃焼させ、燃焼熱を直接間接に温室で使用する。
    また、湿潤系バイオマスを使用するメタン発酵でのバイオガスをメタン発酵槽のそばで小型ボイラで燃焼させ、その燃焼ガスで発酵槽を加温させることもある。
    一方、エネルギーを直接取り出すのではなく、バイオマスの発酵熱を用いて堆肥製造でバイオマスの熱利用も行われている。
  2. バイオマスコジェネ(発電+熱利用)
    木質バイオマスを直接燃焼させて水蒸気を発生させて、蒸気タービン発電を行いながら、ないし、発電を行った後の蒸気熱を、製材加工での加熱やベニヤ板作成のための単板製造での加熱に使用している。
    バイオマスガス化発電では、木質バイオマスをガス化させて生じるガス化ガス(成分は水素、一酸化炭素等)でガスエンジン発電を行い、その排ガス熱を温室加温等に使用する。
    かなりの量のバイオガスが集められるとバイオガス発電が可能になり、ガスエンジン発電のあとのエンジン排熱を温室利用や各種加温に使用している。
  3. バイナリー発電
    正確には、バイナリーサイクル発電というが、2つの媒体の熱サイクルを用いて2つ目の熱サイクルで発電を行っている。
    (地熱発電等でよく用いられているが、バイオマスコジェネの一変形ともいえる。)
    1つ目は高温側の熱サイクルで、80~160℃の熱水の場合が多く(排ガスでも可)、2つ目の低温側へ熱を供給する。
    2つ目が発電用熱サイクルで、媒体としては水より沸点の低いもの(ペンタン、イソブタン、代替フロン、アンモニア水等)が用いられ、その媒体を蒸発させてタービンを回して発電を行う。この媒体に有機媒体を使うものを有機バイナリーサイクル(オーガニックランキンサイクルORC)とも呼んでいる。
    出力的には数十kW~数千kWのものがあり、バイオマス分野では数百kWのものが多く使われている。世界で商業的に製造されているのはイスラエル、米国、イタリア、日本等にある。
    発電効率としては、小型では一桁% 、大型では十数%の場合が多い。
    バイオマス分野では、ガスエンジンの高温排熱を熱回収してバイナリー発電を行い、ガスエンジン発電と合わせてFIT制度売電を行っている。
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