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発電側基本料金について(その2)
―発電側基本料金の負担規模―

発電側基本料金の基本的な考え方としては、現行制度上、送配電網の維持、運用に係わる費用について、小売電気事業者が託送料として負担していたものを系統利用者である発電側にもその費用の一部についてkW単位で負担を求めることである。

小売側と発電側の負担割合は、9:1と想定されており、発電側基本料金の水準は全10社ベースでみた平均単価150円/kW・月、また、エリア別で見た場合の平均単価123~169円/kW・月が示されている。つまり、平均単価150/kW・月の場合、発電側基本料金の年間額としては、1800円/kW、20年間では、3.6万円/kWの総額となる。

これをFIT電源の設備利用率(年間)に応じた発電量当たりの負担規模で見ると下記の通りであり、天候に影響され設備利用率が低い風力発電や太陽光発電については、他の再エネより負担額が大きくなる。

第53回 調達価格等算定委員会2019.12.27 資料より抜粋、一部追記

負担規模(円/kWh)=150円×12カ月/24時間×365日×設備利用率
第53回調達価格等算定委員会2019.12.27資料

設備利用率によって負担規模が変わることは、同じ電源の場合、メンテナンス不備で設備利用率が悪化している発電所よりも、きちんと整備して高い設備利用率を維持している発電所に対してインセンティブが与えられるという事が言える。一方、異なる電源で比較すると風力発電や太陽光発電といった設備利用率が低い電源が従来電源である火力発電に比べ不利となる。このように発電側への課金は、低い設備利用率の発電事業者に対するペナルティーともなるものであり、今後の再エネ普及への影響を懸念する。

なお、発電側基本料金が導入されることは、逆に言えば小売電気事業者の託送料金負担が若干ではあるが軽減されることであり、この金額は0.5円/kWhと想定されている。この減額分について、経済産業省は、小売電気事業者の利益とするのではなく、発電事業者に還元するように行政指導しており、この減額分を控除した後の負担規模としては、太陽光発電(想定設備利用率14%)の場合1.0円/kWh、風力発電(想定設備利用率23%)の場合0.4円/kWhとなり、他のFIT電源の発電量当りに換算した負担はなくなる。

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