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発電コスト検証結果について(その1)
―風力・太陽光が火力・原子力より安くなるのか―

発電コスト検証ワーキンググループにより2030年の電源別発電コストの試算結果が公表(2021.8.4)された。これによると風力(陸上)や太陽光(事業用、住宅用)の発電コストが火力(LNG)10.7~14.3円/kWhや原子力11.7~円/kWhより安くなるというものであった。過去の委員会情報などによると再エネを100%導入すると電力コストが現状の4倍程度まで上昇するといった検討結果も発表されている。すなわち再エネを導入すればするほど電力コストが上がってしまうとのイメージが強い中、今回の発表はエポックメイキング的なニュースとしてメディアにも取上げられている。

風力と太陽光の発電コスト検証がどのような考え方で算出され、また、本当に安くなるのかついてみてみる。

【風力(陸上)】
風力(陸上)は、2030年、9.9~17.2円/kWhとなっており、これは2020年のモデルプラントの発電コスト19.8円/kWhを試算し、この発電コストを基準とし、2030年の発電コストを想定したものである。具体的には、国際機関(IRENA)レポートを参照し、総設置費の低減率を10~47%を採用、また、設備利用率や稼働年数は2020年の値を採用し2030年の発電コストを試算したものである。

【太陽光(住宅用、事業用)】
太陽光(住宅用、事業用)は、2030年、8.7~14.9円/kWh(住宅用) 8.2~11.8円/kWh(事業用)となっており、これについても同様には2020年のモデルプラントの発電コストを17.7円/kWh(住宅用) 12.9円/kWh(事業用)試算し、この発電コストを基準とし、2030年の発電コストを想定したものである。具体的には国際機関(IEA)が示した習熟曲線(累積生産量が倍増する毎に設備費が20%低下すると想定)など2つのシナリオを採用、また、設備利用率や稼働年数は2020年の値を採用し2030年の発電コストを試算したものである。

風力及び太陽光の発電コストの試算については、世界的にも確立した手法が存在しない中、それぞれ代表的な国際機関の見通しを採用しており一定の信頼性はあるものと考える。但し、太陽光や風力といった自然変動型電源については、統合コストとして別途示されている系統安定化費用等が発生し、(例えば、変動電源20%の場合、年間1兆1580億円の追加費用が発生)この追加費用は上記発電コストには含んでいないため実際の発電コストはもっと高くなる。なお、このような追加費用をどのように分担していくのかについては、今後の課題といえる。

つまり、発電コスト評価では、前提条件が変われば結果も変わる、また、太陽光や風力といった自然変動型電源については追加費用が発生するということを認識すべきであり、今回の数字をもって火力や原子力より安くなったとは言えない。

2030年の電源別発電コスト試算結果
(発電コスト検証ワーキンググループ2021.8.4配布資料より抜粋)
2030年の電源別発電コスト試算結果2030年の電源別発電コスト試算結果
2020年の電源別発電コスト試算結果
(発電コスト検証ワーキンググループ2021.8.4配布資料より抜粋)
2020年の電源別発電コスト試算結果

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