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ハイブリッドダム

「ハイブリッドダム」は、最新の気象予測技術や土木技術を活用し、天候に応じた貯水量の柔軟かつ高度な運用を実現することによって、ダムによる治水機能の強化および水力発電の促進の両立を図るもので、国土交通省が官民連携の新たな枠組みとして取り組んでいます。さらに、発生した電力を活用したダム立地地域の振興にも官民連携で取り組むものです。

  • ①大雨が見込まれる場合に、大雨の時により多くの水がためられるよう、発電容量等を活用し、河川の水量が増える前にダムから放流して、一時的にダムの貯水位を下げる「事前放流」を実施 ⇒ 治水機能の強化
  • ②一方、しばらく大雨が見込まれない場合には、洪水調節容量に水をためて水位を上げ、増電につながるよう、「ダムの運用高度化」の取組を実施 ⇒ 水力発電の促進
  • ③今後、降雨の予測技術が一層向上すれば、さらにこの取組の拡大も見込まれる。併せて、かさ上げ等のダムの改造により、ダム容量の拡大を図ることで、更なる治水機能の強化、水力発電の促進も可能となる。
図-1 ハイブリッドダムの取り組み
出典:国土交通省ウェブサイト
(https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/dam_kondankai/dai01kai/02_shiryo02.pdf)

「ハイブリッドダム」により水力発電を促進するための具体的手法は、

  • ①洪水後期放流の工夫(ダムの運用高度化)
    洪水後にダムの貯水位を下げる放流を行う際、当面降雨が予測されない場合は緩やかに放流し水力発電を実施
  • ②非洪水期の弾力的運用(ダムの運用高度化)
    非洪水期にまとまった降雨が予測されるまでの間、一定の高さまで貯水位を上げ、これを安定的に放流し水力発電を実施
  • ③発電施設の新増設
    発電施設が未設置のダムにおいて、発電設備を新設し水力発電を実施
  • ④ダム改造、多目的ダム建設
    堤体のかさ上げ等を行うダム改造や多目的ダムの新設にあわせ、発電容量の設定などにより水力発電を実施

が考えられている。

図-2 ダムの運用高度化
図-2 ダムの運用高度化
出典:国土交通省ウェブサイト
(https://www.mlit.go.jp/river/dam/pdf/hybrid_dam.pdf)

「ハイブリッドダム」の取り組みを進めていくために、国土交通省では下記の活動を行っています。

  • ①ハイブリッドダムの取り組みに関する官民対話(サウンディング※)(令和4年9月~10月)
    • ・民間投資が可能な治水・水力発電を両立させる方策
    • ・民間活力を活かしたダム立地地域の地域振興の提案
    • ・ハイブリッドダムの事業に参画する際の実施スキーム(体制・手法等) 等
  • ②既設ダムの運用高度化の試行(洪水後期放流の工夫・非洪水期の弾力的運用)(令和4年度)
    洪水後期放流の工夫 :横山ダム・大石ダム・月山ダム・四十四田ダム・八ッ場ダム
    非洪水期の弾力的運用:玉川ダム
  • ③既設の3ダム(湯西川ダム・尾原ダム・野村ダム)で発電施設の新増設等の事業化に向けたケーススタディ、72 のダムで運用高度化による増電の取り組みの試行(令和5年度)
    ケースステディを踏まえ、令和6年度以降に発電事業や地域振興に新たに参画する民間企業の公募を行うダムを選定
  • ④発電施設の新増設のケーススタディに関する民間事業者からの意見聴取(サウンディング)(令和5年7月~9月)
    • ・事業者としての参画意欲
    • ・対象ダムの施設・立地・運用等に関して提供を希望する情報
    • ・希望する事業手法、事業期間
    • ・民間事業者等に課すダム管理費等の負担方法に関する要望
    • ・地域振興における国の関与や地域に関する要望
    • ・想定する売電方法やその検討に必要な情報 等
    ※サウンディング:事業発案段階や事業化段階において、新たな事業内容の提案を受け、事業内容に関する対話(質疑応答や意見把握等)を行うことで、主として事業化検討を進展させることを目的とした官民対話の手法
  • ⑤気候変動に対応したダムの機能強化のあり方に関する懇談会(第1回:令和5年7月26日)

【参考資料】

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