新エネルギー「最近の話題・キーワード」解説コーナ-新エネルギー「最近の話題・キーワード」解説コーナ-

ペロブスカイト太陽電池について

カーボンニュートラルの達成に向けた動きが活発化する中で、太陽光発電の導入量増加は不可欠と言われているが、国土面積当たりの日本の太陽光の導入量はすでに主要国の中で最大となっており、パネルの設置場所は限られつつある。そこで関心が高まっているのが、軽量で柔軟性を持つ「ペロブスカイト太陽電池」。

「ペロブスカイト太陽電池」は、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を用いた新しいタイプの太陽電池で、発電層を含む厚みが、現在主流となっているシリコン系太陽電池の100分の1程度と非常に薄いため、軽量で曲げることができるのが特長。そのため、建物壁面への設置や、透明電極を用いて窓への適用など多様な設置形態が可能となる。また、太陽電池モジュールの基板に直接、層材料を塗布することができることから、従来の製作技術に比べて、より安価に形成できることもメリットとして挙げられる。

ペロブスカイト太陽電池

世界各国でも、「ペロブスカイト太陽電池」が『シリコンに対抗しうるゲームチェンジャー』と位置づけられ、長期的にはシリコンと置き換えることを念頭に実用化を目指す動きが活発化している。例えば、アメリカでは国立再生可能エネルギー研究所が中心となって「米国先進ペロブスカイト製造コンソーシアム」が設立されている。

国内では経産省が8月31日に開いた産業構造審議会グリーンイノベーションプロジェクト部会のグリーン電力の普及促進分野ワーキンググループで、脱炭素化に取り組む企業を支援する2兆円の基金から、ペロブスカイトの社会実装を視野に次世代太陽電池に関する研究開発のプロジェクト予算(21~30年度)として最大総額で498億円(基盤技術開発事業に上限80億円、実用化事業に上限120億円、実証事業に上限298億円)を配分する計画が示された。

WGの資料によると、太陽光発電の世界市場規模は30年に約5兆円(うち次世代太陽電池は約500億円)、50年に約10兆円(同約5兆円)になると試算している。

社会実装に向けた企業の動きとしては、東芝、パナソニック、リコー、三菱マテリアル、富士フィルム、ホシデン、フジプレアムなどが研究を進めている。「ペロブスカイト太陽電池」の今後の動きに注目したい。

【参考資料】

ページトップへ