新エネルギー「最近の話題・キーワード」解説コーナ-新エネルギー「最近の話題・キーワード」解説コーナ-

非化石証書の動向(その2)

非化石証書の動向(その1)では、「非化石価値取引市場」創設についてお話ししたが、今回は、引き続き「非化石価値取引市場」の状況について説明する。

「非化石価値取引市場」のオークションでは、 2018年5月に2017年度通年受渡分が初めて取り引きされ、約定量は516万kWhであった。その後、2018年8月と11月に2018年度受渡分としてオークションが2回実施され、約定量はそれぞれ224万kWh、2102万kWhと低調に終わっている。3回のオークションの応募量に対する落札率は、わずか0.01~0.05%に過ぎなかった。これは、高度化法の中間評価が未設定であり、売れ残りのFIT非化石証書は、小売発電事業者に無償配分されることになっていたためである。賦課金軽減効果についても、3回分の収入は約3,700万円で期待外れと言わざるを得ない結果となった。

また「非化石証書」は、当初環境価値の由来となった再生可能エネルギー電源を明らかにされていなかったため、多くの企業がCO₂削減のために取り組んでいる「RE100」の取り組みに活用できなかった。そこで、2019年2月に実施された2018年度受渡分の3回目のFIT非化石証書オークションから、環境価値の由来となった再生可能エネルギー電源を明らかにしたトラッキング付非化石証書の実証試験が開始された。その後、2019年5月、8月、11月、2020年2月、5月にもFIT非化石証書オークションが実施され、約定量は徐々に増えているもの、応募量に対する落札率は0.5%程度とまだまだ低かった。

2020年8月に、2020年度受渡分第1回目のFIT非化石証書オークションが実施され、約定量1億5117万kWhと前年度の1回目の1.4倍、落札率0.7%に増加した。今回の非化石証書はエネルギー供給構造高度化法の中間目標達成には活用できないが、再生可能エネルギー由来の電気を求める需要家が増え、小売電気事業者が調達量を増加させたと考えられる。

非化石証書の価格は1.3円/kWh程度で、同様の環境価値を持つグリーン電力証書の1/10程度となっている。市場規模についても、グリーン電力証書が3億kWh程度であるのに対し、非化石証書は500億kWh以上と言われ200倍近くとなっている。

現在、非化石証書については、需要家は小売電気事業者から、電気とセットでしか購入できないが、RE100やSDGsなど企業の環境保全活動意識の高まりを受けて、環境価値のニーズはますます高まってくることが予想される。

今後は、「非FIT再エネ」や「非FIT非化石」の非化石証書のオークションが予定されており、これからも「非化石価値取引市場」の動向に注目したい。

【ご参考】

ページトップへ