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非化石価値取引市場について(その4)
―FIT証書、過去最多の入札者数―

「非化石価値取引市場について(その1~3)」に述べているが、取引市場が分割されFIT証書については、再エネ価値取引市場として需要家が直接購入することが可能となった。また、昨年度の取引結果からすると約定価格がFIT非化石証書の最低価格(1.3円/kWh)に張り付いており、市場ニーズや海外の取引価格からみると最低価格は引き下げることが必要ではないだろうかとコメントしたところである。

電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会2021.9.24において、現状FIT証書の供給が需要を大幅に上回る見通しとなっていることから、暫定的な処置ではあるが、FIT証書の最低価格を従来の1.3円/kWhから0.3円/kWhに引き下げられた。この結果を受けオークションが開催され、日本卸電力取引所(JEPX)は取引結果を公表(11月26日)にした。

今回、参加した入札者数は過去最多の118社、約定量は2020年度全体の約定量を上回る約19億kWh、約定価格は0.3円/kWh(=最低価格)の取引結果であった。入札が増えたのは、FIT非化石証書の最低価格が大幅に引き下げられたことで買い手ニーズも高まったと思われる。また、入札者の内、小売電気事業を行わない需要家は6社、仲介事業者は21社が参加したと公表された。新聞報道によるとJEPXの非化石価値取引会員に入会している需要家は、スターバックスコーヒージャパン、小野薬品工業、三菱電機、エーザイ、三菱地所等とされており、意外に入会している需要家が少ない感じである。

現状、証書の下限価格(0.3円/kWh)で購入ができることもあり、今後、需要家が直接取引市場に参加し市場が活性化することを期待したい。2021年度分の取引は来年の2月、5月にも実施される。

FIT非化石証書の約定量
(電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会2021.11.29配布資料より抜粋)
FIT非化石証書の約定量
2021年度(11月) 非化石価値取引市場 取引結果
2021年度(11月) 非化石価値取引市場 取引結果
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