需要家と発電事業者が長期の電力購入契約を結ぶコーポレートPPAについては、世界的に案件が増加している状況であり、特にオフサイトPPAは非FITの導入方法として再エネの導入拡大に資する可能性があるとされている。オフサイト型のコーポレートPPAには、以下の通りフィジカルPPAとバーチャルPPAに分類され、日本でのスキームは以下の通りである。
上記の通り非FIT再エネ証書については、分割された高度化法義務達成市場において高度化法の義務達成の手段として小売電気事業者のみが調達可能となっている。
一方で、小売電気事業者を介さず、非FIT再エネ証書のみを発電事業者と需要家が直接取引できるようにすることにより、今後の再エネ導入拡大を後押しするものと考えられることから直接取引の実現を求める声が出てきている。
また、米国におけるバーチャルPPAの場合、小売電気事業者の介在なしで、発電事業者と需要家が再エネの環境価値を直接売買できることとなっており、バーチャルPPAの割合がPPAの8割以上となっている状況となっている。
このようなことを踏まえて、電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会2021.11.29において審議され、「今後非FIT再エネ電源に係るコーポレートPPAの 取り組みに限り、一定の要件(JEPXでの口座開設、再エネ電源は新設対応等)を満たす場合には、発電事業者と需要家における非 FIT再エネ証書の直接取引を認める方向で検討を進める」として発電事業者と需要家の直接取引を目指すこととなった。今後、多くの需要家が参画し、再エネの導入拡大につながることを期待したい。
なお、非化石価値取引市場について(その1)でも述べているが、非化石価値の取引が可能なものとして、「グリーン電力証書(民間)」や「Jクレジット制度(経産省、環境省、農水省)」があるが、今後このような制度の在り方についての整理が必要ではないだろうか。