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カーボンリサイクル(その2)

「カーボンリサイクル」に関する動向について、ご紹介する。

CO₂(二酸化炭素)を資源として活用する「カーボンリサイクル」技術の早期実用化に向けて、さまざまな研究や技術開発を集中的、横断的に取り組む実証研究の拠点を広島県の大崎上島(大崎上島町)に整備する事業が進んでいる。

大崎上島では、中国電力(株)大崎発電所構内に、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)と、そこから発生するCO₂を分離・回収するシステムの実証事業が進められている。

さらに、世界最先端の技術や近く実用化が見込める技術を一元的に研究開発する環境を整えるとの考えから、大崎上島を「カーボンリサイクル技術の実証研究拠点」として整備する事業がスタートしている。

カーボンリサイクル

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「大崎上島の実証研究拠点化」と「この実証研究拠点でカーボンリサイクル技術の実用化に向けたさまざまな技術開発」を進めていくために5件のテーマを採択した。

本テーマは大きく二つから構成されている。

  • ①「CO₂有効利用拠点化推進事業」では、大崎上島を実証研究拠点とするために必要な設備・施設を整備するとともに、実証研究拠点の運営や研究活動の支援を行い、技術開発の総括的な評価などに取り組む。
    ・CO₂有効利用拠点化推進事業:
    (受託者)大崎クールジェン株式会社
    ・基礎研究拠点整備・研究支援の最適化検討と実施:
    (受託者)一般財団法人石炭フロンティア機構
  • ②「研究拠点におけるCO₂有効利用技術開発・実証事業」では、整備した拠点においてCO₂を有効利用するための技術開発を行い、さまざまな技術を対象に経済性やCO₂削減効果などを評価する。具体的には市場規模の大きい、打設や鉄筋に適用できるCO₂有効利用コンクリートの研究開発、将来的に需要増が見込めるCO₂を利用した化成品の製造プロセス構築、菌類を用いたCO₂固定化技術のシステム構築に取り組む。
    ・CO₂有効利用コンクリートの研究開発:
    (受託者)中国電力株式会社、鹿島建設株式会社、三菱商事株式会社
    ・カーボンリサイクルを志向した化成品選択合成技術の研究開発:
    (受託者)川崎重工業株式会社、国立大学法人大阪大学
    ・Gas-to-Lipidsバイオプロセスの開発:
    (受託者)国立大学法人広島大学、中国電力株式会社

事業期間は、2020~2024年度の4年間で、「カーボンリサイクル」技術の確立、利用拡大、低コスト化のための技術開発が進めば、地球温暖化防止と化石燃料の有効活用に大きな効果をもたらすことになる。今後の石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)とカーボンリサイクル技術の実証事業の成果に期待したい。

【ご参考】

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