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海外の地熱発電状況について

世界の地熱資源量で見た場合は、ザ・ガイザーズという世界最大級の地熱地帯を有するアメリカが第1位で3,000万kW存在すると言われています。第2位がインドネシアで2,800万kW、第3位は日本で2,300万kWと言われています。日本は世界でも屈指の地熱資源を持つ国と言えます。

しかし、運転している地熱発電所の発電設備容量で見ると、第1位がアメリカ370万kWで、第2位インドネシア210万kW、第3位フィリピン190万kWであり、日本は60万kWで第10位となっています。日本は停滞している状態が長期に渡っていたこともあり、現在の位置に留まっています。しかし、2011年の東日本大震災後に舵を切った国の推進策により、近年は上昇の気配が感じられるようになりました。

国別でみると、インドネシア、トルコ、ケニアなど地熱開発の伸びが大きい国と、フィリピン、メキシコ、イタリアなど停滞気味の国があります。

地熱の資源量、発電設備容量とも第1位のアメリカは、比較順調に伸びています。地熱開発事業者は全て民間企業ですが、国の政策では1978年の公益事業規制政策法と、2005年の生産税控除の拡大が、地熱開発推進に効果があったと分析されています。

成長が顕著なインドネシア(2010年120万kW⇒2019年210万kW)では、地熱開発事業者には国営企業と民間企業が存在し、比率は約4:6となっていて国営企業も一定の役割を担っていると考えられます。国の地熱の開発目標として、2030年に倍々増を目指すという壮大な計画が打ち出されています。国の推進政策は、①地熱法を中心とする法体系の整備、②買取価格政策、③優遇税制などとされています。

特に成長著しいトルコ(2010年8万kW⇒2019年150万kW)では、成長の要因として①国のコミットメント(地熱法、FIT制定等)、②公的機関による初期調査⇒民間への移転、③サイトが平野部で掘削しやすい石灰岩質という環境的に有利等が挙げられます。国が地熱開発の目標としていた2023年100万kWは、既に2017年に達成され、新たな目標が検討されているようです。

いずれにしても国による推進策を打ち出していることが大きな要因になっています。再エネ推進は全世界的に掲げられている目標です。現在地熱推進が停滞している各国も、将来の地熱開発の拡大を目指している点は共通しています。

【参考文献】

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