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既設地熱発電所における資源リスクについて

地熱発電としては、主に蒸気や熱水を使いますが、地下にあり直接目で見ることはできません。そのために、いろいろな探査を行って、有望地点を探ります。そして、有望地点とされたところで、投資して1本数億円から十数億円と言われている井戸を掘削し、蒸気を噴出させて地熱資源の状態や貯留層の存在状況を確認します。それらの情報から、発電所として事業が成り立つかを判断して、発電所の建設を決定します。しかし、事業として成立しないと判断された場合は、発電所の建設を諦めます。この場合は、井戸掘削の投資はふいになります。これは、地熱開発に伴うリスクととらえられています。

それでは、発電所にして操業開始をした後、リスクは無くなっているのでしょうか。新エネルギー財団の「地熱エネルギーの開発・利用推進に関する提言 令和2年3月」では、次のような既設地熱発電所における資源リスクを取り上げています。

地熱発電所の安定的な運転を継続するためには、蒸気生産能力や熱水還元能力を維持する必要があり、定期的な補充井の掘削が不可欠である。地熱井掘削は開発投資の中で大きな割合を占めており、調査段階では掘削を失敗するリスクが地熱開発の成功を左右する大きな要因となる。一般的に操業を継続し地下の情報が蓄積されるにつれて、そのリスクは次第に低下する。

しかしながら、運転開始から20年以上が経過した既設地熱発電所では、還元熱水の混入による局所的な地熱貯留層の温度・圧力低下や貯留層の過熱化による流体の強酸性化などにより、開発当初の貯留層とは異なる挙動を呈している場合があり、補充井を掘削しても想定する蒸気量や熱水還元量を得られないといったリスクが高まる可能性がある。

また、既設地熱発電所においては操業エリアの拡大も難しいことから、坑跡の輻輳による傾斜掘削の高精度が要求され、地上設備の複雑化による掘削リグ配置の制約等もあり、これらも掘削失敗のリスクを高める一因となっている。このような運転期間の長期化に伴う掘削失敗リスクの高まりは、生産・還元を継続することで新たに生じる「資源リスク」であり、既設地熱発電所に特有のものである。

地熱発電に関するリスクについては一企業で賄うことが難しい場合も多いため、国による支援制度の充実が望まれます。

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