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グリーンエネルギー証書の動向

グリーンエネルギー証書には、「グリーン電力証書」と「グリーン熱証書」の2種類があるが、世の中で活用されているのは、「グリーン電力証書」が圧倒的に多い。「グリーン電力証書」発行量が2018年で2億5千6百万kWhであるのに対し、「グリーン熱証書」は9千7百万MJとなっており、CO₂に換算すると、20倍以上の差がついている。

そもそも「グリーン電力証書」とは、風力、太陽光、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーにより発電された電気の環境付加価値を、証書発行事業者が第三者認証機関(一般財団法人日本品質保証機構)の認証を得て、「グリーン電力証書」という形で取引する仕組み。「グリーン電力証書」を購入する企業・自治体などが支払う費用は、証書発行事業者を通じて再生可能エネルギー発電設備の維持・拡大などに利用され、証書を購入する企業・自治体などは、「グリーン電力証書」の取得により、発電設備を持たなくても、証書に記載された電力量(kWh)相当分の再生可能エネルギーの普及に貢献し、再生可能エネルギーよる電力を利用したとみなされる。

2001年に制度が始まった「グリーン電力証書」は、企業の地球温暖化防止等の環境意識の高まりととともにニーズが高まり、2008年にはグリーンエネルギー証書の普及を支援する団体として「グリーン・エネルギー・パートナーシップ(GEP)」が国によって設立された。翌年の2009年にはその購入費用の損金算入が認められ、2010年には温対法の削減対象となるなど、活用促進の追い風となり、2011年までグリーンエネルギー証書はその発行量を順調に伸ばした。

しかしながら、2012年の固定価格買取制度(FIT制度)の開始よって状況は大きく変化する。再生可能エネルギーの電力を高く安定的に買い取るFIT制度に、新規の発電事業者のほとんどが移行し、グリーン電力証書の基となる再生可能エネルギー電力が増えない状況となり、グリーン電力証書の発行量は2015年まで毎年大きく減少する状況となった。

しかし、また市場に変化が現れたのが2014年の発足した「RE100」に端の発した外資系企業を中心とした再エネ利用の活発化である。グリーン電力証書のニーズが高まり、その発行量は、2015年から増加に転じ、2017年には2014年の2倍以上に増加した。

ただ、現在も「RE100」によるニーズは続いているものの、グリーン電力証書よりも価格の安いFIT制度等による非化石電力の環境価値を証書化した「非化石証書」の市場導入が進んでおり、今後のグリーン電力証書の展望はますます厳しいと言わざるを得ない。

【ご参考】

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