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みどりの食料システム戦略について

農林水産省では、食料・農林水産業分野における脱炭素・環境負荷低減に向けた変革を推進するため、令和3年5月に「みどりの食料システム戦略」を策定した。その中では、2050年に向けて、

  • 農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現
  • 化学農薬使用量(リスク換算)の50パーセント削減
  • 輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30パーセント削減
  • 有機農業の取り組み面積の割合を25%(100万ha)に拡大
  • エリートツリー等の成長に優れた苗木を林業用苗木の9割以上に拡大

等の目標が掲げられている。

そして、この戦略を具体化していくための手段として、令和4年4月に「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律」(通称 みどりの食料システム法)が成立し、同年7月1日から施行されている。同年9月15日には、農林水産大臣による基本方針も示され、同法の運用も本格化したので、これについて以下に紹介する。

<みどりの食料システム法の概要>

  • ①国による基本方針の策定
    農林水産大臣が環境負荷低減活動の促進等についての基本方針を策定。
  • ②都道府県・市町村による基本計画の策定
    都道府県と市町村が連名で策定。都道府県が主導することが基本であるが、市町村が主導することも可能。農林水産大臣への協議・同意が必要。
  • ③環境負荷低減活動を行おうとする農林水産事業者(団体でもよい)は、環境負荷低減事業活動の実施計画を作って都道府県知事の認定を受けることができる。
  • ④基本計画内で定められた特定区域において、有機農業の団地化や地域ぐるみのスマート技術の活用等の活動を集団又は相当の規模で行おうとする者は特定環境負荷低減事業活動の実施計画を作って都道府県知事の認定を受けることができる。
  • ⑤さらに要すれば有機農業の生産団地の形成のための栽培管理等についての協定書について市町村長の認定を受けることができる。
  • ⑥新技術の提供や市場の拡大等、農林水産事業者の取り組みのための基盤となる事業を行おうとする者(機械・資材メーカー、支援サービス事業者、食品事業者等)は、基盤確立事業の実施計画について農林水産大臣の認定を受けることができる。

上記の各認定に対応して、税制、予算等による各種の支援措置が用意されているほか、国自らも関係者の理解増進、技術開発や技術の普及促進、流通の合理化、消費の促進等に取り組むとしている。

そして、令和4年9月15日に策定された基本方針では、特に、2024年までに環境負荷の低減に取り組むモデルを50地区創出し、そのモデルの横展開等を促進することにより、2030年には、以下の目標の達成を目指すこととしている。

  • 化学農薬使用量(リスク換算)を10%低減
  • 化学肥料使用量を20%低減
  • 有機農業の取り組み面積を6,3万haに拡大
  • 燃料燃焼によるCO2排出量を10,6%削減
  • 加温面積に占めるハイブリット型園芸施設等の割合を50%に拡大

農林水産業は言うまでもなく太陽の恵みの上に成り立つ産業であり、しかもCO2を吸収する働きを持つ産業でもある。事業に従事する方々の努力次第で太陽光で発電をするより以上に高い付加価値を生み出せる産業であり、関係者の尽力が期待されるところである。

【参考資料】

  • ・農林水産省ホームページ 令和4年9月15日 みどりの食料システム戦略の実現に向けて
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